みなさん、こんばんは。
愛知県岡崎市の社労士 伊東毅(たかし)です。
先日、「医療労務コンサルタント」の研修を受けてきました。
土日の2日間、朝から夕方までハードなスケジュールでしたが、多くの知識や経験を得ることができました。
・外科や救急科の勤務医の40%以上は、60時間以上の労働時間(一週間あたり)。
・20歳代の勤務医の76%は、1ヶ月の休日が4日以下。
・勤務医の約半数が、有給休暇の取得は1年で3日以下。
・「ヒヤリ・ハット体験」は、長時間労働や有休の少ない勤務医ほど高くなる。
・2人に1人は、半年以内に1回以上、患者さんやその家族から不当なクレームを受けている。
・医師の半数以上は、自分の体調不良について全く相談していない
などの統計情報については、初めて知りました。医療の現場は、長時間労働かつストレスが多いことがよく理解できました。
また長時間労働になれば、必然的に睡眠時間が少なくなります。睡眠時間が少ないほど、抑うつ状態になりやすいというデータもあるようです。睡眠時間が6時間未満は要注意。5時間未満は非常に危険とのことです。(日本医師会のアンケートによれば、睡眠が6時間未満の医師は、約40%、5時間未満は、約9%)
では、なぜ医療現場は長時間労働になるのでしょうか?
それは、医師不足であることに加えて、医師という業務の特殊性などが原因となっているようです。すなわち、「患者の命に直接関わる仕事」であるがゆえに、医師が髙い職業意識を持って業務を遂行している。ゆえに、労働基準法や労働安全衛生法などの法律を、医療の現場に形式的に適用することが、なかなか難しいようです。「これ以上働くと、36協定で決めた時間を超えてしまいますから、これで帰らせていただきます。」なんてことを、患者さんを目の前にして、言える訳がないのです。
しかし、疲労の蓄積により、医師や看護師がミスをすれば重大な医療事故にもなりかねません。何らかの対策が必要です。そこで日本医師会は、「医師が元気に働くための七ヵ条」「勤務医の健康を守る病院7ヵ条」という2つのパンフレットを作成・配布したり、勤務医の健康支援のための相談窓口を設置しているようです。
2日間の研修を受けて、労務管理の専門家である社労士として、医療の職場環境を改善するためのお手伝いをする機会が沢山あると感じました。
「法律ではこうなっていますから改善してください」というアプローチは反感を買ってしまうと思います。職場で働く方々の話をよく聴いて、一緒に問題解決の方法を考えていくといった姿勢が大切なのではないかと感じました。そのためには、良い改善が出来た病院の事例などの情報収集を常にしていこうと思います。