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ことのは

本を読んで感じたことを、素直に書いていきたいと思っています。

※多くの場合、ネタバレを含むことになるだろうと思います。
悪しからずご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします。

待ちに待った十二国記シリーズの新刊

今回は短編集で、
以前にyomyomで掲載された短編2編と書き下ろし2編が収められています。

十二国記の世界観を詳細に説明するには
どれだけ言葉を尽くしても足りないと思うのでぜひ読んでいただくとして
私にとっての十二国記と
今回のお話を読んで感じた事だけを書きたいと思います。



十二国記は、
今私たちが居る世界とは少し離れた別の世界に暮らす人々
特に、
神に選ばれてその世界の十二の国を統べる王達や、王の側近達の
苦悩や成長を描く物語です。


私が初めてこの物語を読んだのは、高校生ぐらいの頃で
まだ講談社のホワイトハート文庫からシリーズが出ていました。

表紙絵や挿絵の美しさからは想像もつかないほど中身は骨太で
数々の気付きや、問いや、希望に満ちていて

シリーズ最初の『月の影 影の海』を読んで以来、
私の心を支え 癒し
背中を押して 勇気をくれる
そんな存在で在り続けています。

いまだに、
心が弱ってきたなと思ったら
自分なりの処方箋でこのシリーズから選んで読み返しています。

それぞれに、
深くて、優しくて、力強くて、厳しい効能があります。



で、今回の新作
全体的に、いつも以上に重くて、
読後にスッキリとしたカタルシスが得られるワケではない
とてもリアルなお話だったと思います。

3.11の影響も大きそうです。



そんな中で私は
1作目の「丕緒の鳥」と4作目の「風信」が好きだなぁと思いました。

この2作に共通して感じたテーマは
「どんな状況でも、わくわくする気持ちを大切にして、日々を営んでいく」
「希望」
の2つ。




「7つの習慣」だと、
影響の輪の範囲内で出来る事に真摯に取り組む
って説明になるのでしょうか。


自分の手の届く範囲、
良い意味で自分の身の丈にあった範囲で
日々の営み、自分が為すべき事に丁寧にこつこつと取り組む。

しかも、
わくわくとか愉しいとか、好きだって気持ちを持って。

そうすれば自然と
手の届く範囲は広がっていって
やがて周囲の人たちにも良い影響を与える事ができる。
誰かに何かを伝えたり、贈ったり、役立ったりできるようになる。


そう信じて
悲惨な現実、希望の光の無いまっ暗な世界において
わくわくする気持ちで自らの足下を照らし、
自分の信じる先に向かって
一歩一歩、進んでいく人たちと

そんな風に自らの足下を照らす事ができず
苦悩する人びととの物語。


そう感じました。



そんな彼らに現れる希望。

悲惨な現実を打破し、世界を変え得る力を与えられた存在である王に
人々は勇気づけられ
それぞれの道の先に差し込む光を見ます。



実際の私たちの世界には
この小説のように、世界を変え得る力を与えられた存在なんて居ないけれど

でも、
「世界に希望を見出だす事で、今を生きる力を得る」
そういう瞬間ってあると思います。



しんどい現実に追われる日々を過ごすうちに
目の前の景色が、すりガラス越しに見るような、ぼんやりとした薄暗い世界になって
感動もなく、力も出ず、言葉も生まれず、些細な事が痛くて痛くて
どうして良いのかわからなくなった時

ある人のたった一言で
世界が一瞬にして輪郭を取り戻し、明るく鮮やかになった事がありました。



きっと本人にとっては、本当に何気ない一言。
だけど、
私にとって、その一言が希望だと感じられたんだと思います。

なぜか急に、心がわくわくし始めて
一歩を踏み出す気力が、少しずつ湧き始めました。

未来へのわくわくが、今の一歩につながりました。



一歩踏み出すための力の源が、わくわくする気持ちだとしたら

前者の人たちのように
自らの中にわくわくの源を持って、自家発電できれば言う事ないですよね。

7つの習慣を初めとして
良い自己啓発書というものは、
このわくわくの源を自分の中に見出だす作業を説いているのだと思います。


でも、それって
多くの場合、とても難しい。


後者のように
苦悩し、自分の殻に閉じこもってしまったり
諦めてしまったり
誰かのせいにしてしまったり…。


だけど、そんな時でも
「だからもう終わり」「何をやっても無駄」ではなくて

自分の周囲の人びとや、モノ、出来事などから
希望を、わくわくの種を見出だす事ができる。


友人との愉しい予定
大好きな人の存在
心動かされる芸術
美味しいご飯
感謝の気持ち

そんな些細な事からも、わくわくする気持ちを生み出す事ってできる。



その世界への希望、わくわくを力にして踏み出した一歩が、
いつか、自らのわくわくの源に繋がる一歩になればいいな。。。


そんな事を想いました。





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