父は最期を病院で迎えた。

ホスピスだったので、家族はいつでもずっと一緒にいられたし、

環境も整っていたし、看護師さんやお医者さんもとても優しかった。

でも胸の奥にちりちりする感情はずっと残った。


父がこだわって建てた家。

父が一生懸命働いてローンを返済してくれた家。

家族の思い出がつまった家。

犬のいる家。

そこで最期を迎える選択肢はなかったんだろうか、と今でもどこかで思ってる。

ホスピスが父の選択だったとしても。


だから母の最期は必ず家で、と決めていた。

そのために私と夫は実家へ引っ越した。

なのに、なかなか退院を決断できなかった。

母は少しずつ弱ってはいたけど、癲癇等の症状もなく、抗がん剤も飲めていて、このままいてくれるんじゃないかと甘く考えていた。

と、同時に、やっぱり怖かった。

ひとりでは何もできない母と暮らすことが。

自分の生活が変わることも。