退院した頃の母は、既に単語でしか話せなくなっていた。

言葉を発するのはたまに、大体は頷くことで意思疎通を計っていた。


それでも私はおしゃべりなので、ひたすらひとりで話し続けた。

退院後すぐに夫がお寿司を持ち帰ってきてくれた。


母の大好きなお寿司。

「食べる?」と聞くと「食べる」と。

1貫を半分に切って、それでも食べられたのは4つぐらい。

そしてこれがほぼ最後の固形物になった。


本当に大好きでしょっちゅう食べていたお寿司が最後の食べものなんて母らしいニコニコ

今でもお寿司を食べると毎回母を思い出す。

私は今港町に住んでいる。

新鮮な魚が毎日簡単に手に入るし、もちろんお寿司も美味しい。


母と一緒に魚屋さんにもお寿司屋さんにも通いたかったな。