ホスピスに入って最初の2週間ほどは穏やかな日々だった。
でもその後は食べものが喉を通らなくなり、日に日に痩せ、
だんだんと肌や目の色が黄色くなっていった。
そして家族以外の人に会いたがらなくなった。
「もう生きている人には会いたくない。」と。
同時に痛みも強くなってきたようで、「痛い。痛い。」と口にするようになった。
でも、我慢強い父は意識がはっきりしている時は言わなかった。
意識が朦朧としている時や、眠りから覚めた直後にだけ小さい声で「痛い。痛い。」と呟いた。
クリスマスや新しい年を迎える、いつもならふわふわして楽しい時期、
父は段々眠る時間が長くなっていった。