豊かな文化と魅力にあふれるプラハ(チェコ共和国)。クレジット: Andrian Rubinskiy(アンドリアン・ルビンスキー)/Unsplash

 

執筆者: Inés Díaz(イネス・ディアス)

 

文化とコントラストにあふれる都市、プラハ。2004年、チェコ共和国が欧州連合(EU)に加盟して以来、同国の首都であるこの都市は、ヨーロッパ屈指の観光地となりました。モダニズム建築、波乱に満ちた歴史、旅行するには手ごろな価格…どれをとってもプラハはひとときの休息に最適です。人気の旅行先として、特に独身最後のパーティを楽しみたい男性たちから高い評価を得ているプラハですが、そのほかにも知られざる名所のように感じさせてくれる無数の驚きと楽しみを秘めています。 

 

新型コロナウイルス感染症がちょっとした話題にしか過ぎなかったころ、私たちはカフカの生誕の地を訪ね、石畳の小道を散策しながら、目新しいもの、イケてるものをチェックしてみました。これは72時間でこの街を、そしてこの街の活気ある食のシーンを楽しむためのガイドです。

 

移動手段

プラハは歩いて周っても十分楽しめますが、交通ネットワークも充実していて、地下鉄は3線あり、複数のバス路線、昔ながらの風情あるトラムなども観光に便利です。

 

 プラハを2つに分けるヴルタヴァ川。川むこうへ行くにはチャールズ橋を渡るのが一番。

 クレジット: Nomadic Julien(ノマディック・ジュリアン)/Unsplash

 

1日目

 

3日間の冒険は、まず、絵画のように美しいスタレー・ミェストにあるトリカフェの朝食から始めましょう。トリカフェは、ミッドセンチュリーモダンなデザインの本棚を配した居心地のいい空間。本棚にはさまざまな国の言葉で書かれた分厚い学術書のほか、地元の作品も収められ、これらは購入することもできます。コーヒーとアボカドトーストを注文して、誰もがうらやむ窓際の席に腰掛け、待ちゆく人を観察するのはいかがでしょう。コーヒーなどのあたたかい飲み物のほか、ホイップクリームとイチゴで飾られたふわふわのパヴロヴァケーキも楽しめます。 

 

朝一番のエネルギー補給が完了したら、ユダヤ人街、ヨゼフォフへ。トリカフェから徒歩でわずか数分です。動乱の歴史を目撃してきたこの街も、現在は手入れの行き届いたアールデコ調の建物と高級ファッション店が立ち並び、旧市街の喧騒を逃れてきた私たちに、ひとときの安らぎを与えてくれます。旧新シナゴーグは必見。その歴史は13世紀にさかのぼり、なんでも、伝説の人造人間、プラハのゴーレムの亡骸が収められているという噂です。

  

  

 

左:モダニズム建築の建物が並ぶヨゼフォフ地区。クレジット: Shutterstock

右:この地区を散策。旧新シナゴーグは見逃せません。クレジット: Shutterstock

 

またお腹が空いたら?フォー・バーへ足を運んでみてください。ここは手軽にベトナム料理を楽しめる流行のファストフードレストランで、木材をふんだんに使った内装が特徴。食事はおしゃれな黒い器でたっぷりと供されます。ランチ限定メニューには、オーナーのグウェン・フォーン・ジャンが心を込めて監修した、ベトナムの伝統的な家庭の味が並びます。  

 

フォーの後は、バーやカフェが立ち並び、活気あふれるジシュコフ地区へ向かいましょう。少し散策したら、チェコの国家的英雄、ヤン・ジシュカ将軍を記念した存在感ある力強いモニュメントを見学に。勇気を出して警備員さんに話しかけてみましょう。携帯ラジオから流れる1980年代に流行したチェコ音楽をBGMに、この銅像にまつわる事実を喜んで話してくれます。モニュメントから見渡せるプラハの景色は息を飲むほどの絶景です。

 

丘を下っていけば、まちがいなくカフェ・インペリアルに到着します。ここは創業100年を迎える荘厳なホテル兼レストラン。豊かな歴史を持ち、それにふさわしいぜいたくな内装が施されています。調和を基調とするカフェ・インペリアルは、「できる限り最高のこと」をしたチェコの古典的傑作の数々が自慢です。ここではウィンナー・シュニッツェルのマッシュポテト添えを選びましょう。ドイツやオーストリアの常連客からも好評の一皿です。


 

    

 

上:国家的英雄ヤン・ジシュカにちなんで名付けられたジシュコフ地区は活気にあふれ、プラハでも1、2を争う人気エリア。クレジット: Shutterstock

左下:伝説の英雄ヤン・ジシュカのモニュメント。馬に乗った銅像とともに、プラハの街を見下ろします。クレジット: Shutterstock

右下:カフェ・インペリアルの誇る荘厳な内装。クレジット: Angele Pollacco(アンジェル・ポラッコ)

 

2日目

 

目覚めたら、市の中心部、ノヴェー・ムニェストにある華やかなカフェ・ルーヴルでコーヒーを。1902年創業、フランツ・カフカやアルバート・アインシュタインをもてなしたこのカフェは、今でも赤を基調としたモダニズムな内装と開放的な窓が自慢です。しぼりたてのオレンジジュース、ハム、チェコのチーズとゆで卵の並んだ朝食をお楽しみください。

 

では、そろそろ、世界的に有名なチャールズ橋を渡ってみましょう。14世紀に砂岩のブロックを使って建造されたこの橋をわたると、そこはマラー・ストラナ。これは「小さな町」という意味の古い地区で、赤い屋根の小さな家とバロック様式の邸宅が入り混じって並んでいます。ここはランチにも最高です。ロカール・ウ・ビーレー・クジェルキはパブ兼レストランで、街でいちばん本格的なチェコ料理を食べられます。長く素朴な木のテーブルとオープンキッチン、そして真っ白な内装。メニューは日替わりですが、迷ったときには定番のグラーシュとパンのダンプリングをお勧めします。

 

    

 

左:赤はカフェ・ルーヴルでいちばんあたたかい色。クレジット: Shutterstock

右:たっぷりのクリームを添えたホットチョコレートはカフェ・ルーヴルのおすすめ。クレジット: Angele Pollacco(アンジェル・ポラッコ)

 

では、少し文化的な見どころも。クレメンティヌム複合建築には、ため息が出るほど美しく保存されたバロック様式の図書館があります。書籍に対する荘厳なオマージュで、18世紀、イエズス会によって建てられました。収蔵されているのは初版本のみ。廉価版はありません。歴史と古代の知識の香り漂う埃だらけの学術書が並ぶこの図書館は愛書家の夢です。もっと奥まで見てみたいというなら、50分間のツアーはいかがでしょう?人当たりの良いガイド、パヴェルがご案内します。 

 

夕食やお酒を満喫するなら、街でいちばんホットなカクテルバー「ル・フルール」は見逃せません。ヴィチェスラフ・ツロクとミロシュ・ダニヘルカが2015年に開業したこのナイトクラブは、最高級のシャンパンと各種創作カクテルをそろえています。タフティングのほどこされた革張りの長椅子とむき出しのレンガの内装は、19世紀後半のフランスに人気を博したアブサンハウスにインスパイアされたもの。食前のカクテルを楽しんだあとは、BBQソースで和えたプルドポークで軽いお食事を。

 

   

 

左:『美女と野獣』ファンが大喜びしそうなクレメンティヌム図書館。クレジット: Hieu Vu Minh(ヒエウ・ヴー・ミン)/Unsplash

右:地上約68メートル、クレメンティヌム複合建築群の天文台は1722年築。クレジット: Shutterstock

 

3日目

 

朝はコーヒーが最高の目覚まし。アーバン・カフェは、フロレンツ駅のそばにある小さいながらもゆったりくつろげる場所で、やわらかな照明と植物で覆われた壁が特徴です。メドヴニーク(はちみつケーキ)、バーボフカ(クグロフの一種)、ブフティ(ちぎりパンに似たお菓子)などが自慢です。気分転換するなら、エスプレッソの代わりに、チャイ・コーヒーを試してみるのもいいでしょう。

 

レトナはプラハ左岸の知られざる地区で、街でもっとも大きな、緑あふれる公園があり、活気と文化に満ちています。レトナへは歩いていけますが、旅行も3日目ともなればお疲れでしょう。8番路線のトラムに乗って、プラハの歴史的中心地区がいちばんよく見えるレトナ公園から今日のツアーを始めましょう。巨大な赤いメトロノームは見逃せません。これは、1962年に破壊されたスターリン像の代わりとして、1991年に建てられたもので、共産主義崩壊後のチェコ共和国のシンボルです。

 

   

 

左:レトナ公園からはプラハの橋がたくさん見える。クレジット: Shutterstock

右:休まずに動き続けるメトロノーム。クレジット: Shutterstock

 

レトナを代表するとも言えるサルトンペパはキッチンカーからスタートしたレストラン。オーナーはラドヴァン・トルストヴィッチで、名物のハロウミバーガーは大人気。ライバル店がその味の再現に挑戦しましたが無理でした。ランチの後にちょっと一杯というのなら、ビオ・オコはいかがでしょう。このカッコ良すぎるシネマ・バーは、地元民のお気に入り。チェコ国内外を問わず、最新の映画やドキュメンタリーを上映しています。バーに腰掛け、はじけるジンフィズや自家製レモネードのグラスを傾けながら、映画が始まるのを待つのもいいですね。

 

最後の夜の夕食には、ザ・イータリーで思い切りの美食体験を。シェフのパヴェル・ビーチェクは、食事は五感のすべてを使って楽しむものと信じています。だから彼はその有名なレストランの中央に白いタイル張りのキッチンをしつらえられたのです。内装はインダストリアルデザイン。打ちっ放しのコンクリートの柱と天井からぶら下がったペンダントライト。これらがすべて落ち着いたトーンのグレーに塗られています。対照的に、ザ・イータリーの食材は地元で採れたオーガニックなもの。そこから伝統的なチェコ料理を21世紀に届けます。ダマジカ、またはブルヘッドナマズを試してみてはいかがでしょうか。

 

  

 

左:レトナを訪れるなら、必ずビオ・オコへ。クレジット: Alex Timpau(アレックス・ティンパウ)

右:映画鑑賞にぴったり。レトロなスタイルの映画館。クレジット: Alex Timpau(アレックス・ティンパウ)

 

プラハでのご宿泊ならムーズ・ブティック・ホテルが最高です!プラハの中心部にある4つ星ホテルで、心地よい客室が自慢。雰囲気に合わせて色の変わるネオンライトと文学的な名言で飾られています。朝食ビュッフェは無料。また、チェコ政府の新型コロナウイルス感染症対策を遵守しています。