私が高校生の頃、携帯電話はまだ普及していませんでした。
なので、必然的に連絡は自宅電話のみ…。
当時、家にいる父と私は、1日の中で会話を交わすことはほとんどなく…
受験を目指す私は2階の部屋にこもり、父は1階のダイニングでお酒三昧、顔を合わせることなんてほとんどなかった。
私が高校生の頃にもなると、父が私や母に手を挙げることはほぼなくなっていました(怒鳴りちらして何か飛んでくることはあったけど・・・)。
父がまともに働くことも、すでに諦めていたけど、それでも私にとっては受験の邪魔さえされなければそれでよかった。
それでも、父に腹をたてることはしょっちゅう。
それが電話!
不運なことにダイニングにある電話には、どうしても酔った父が先に出てしまうのです。
女の子の友達から電話がかかると、私の聞いたことのない猫なで声で…
「はいはい、ちょっと待ってな。○○さんな、はいはい。」
と言って、2階の私を呼んでくれるのに!
男友達からの電話には、
「今あいつは寝てる!」
と言ったとたんにガチャン!
朝でも昼でも夜でも
「今あいつは寝てる!」
もう!一日中寝てる人みたいやん…。
父との一番の思い出を思い出そうとしたのに、こんなエピソードしか出てこない。
それでも、今となっては笑い話。
父が元気で生きていた頃の話。
あの「今あいつは寝てる!」は、私にはものすっごく迷惑なことだったけど、私はそれなりに娘として認識されていたのかもしれない。
それは、ひょっとして父親なりの微かな愛情の裏返しだったのかもしれない。
親子なんて、永遠に不器用なやり取りしかできない。
でも、その不器用さをやっと少し笑えるようになったのは、時が経った今だから。

お父さん。
そこには電話はありますか?
もし、空の上に電話があれば、たまには電話をかけてきて。
私の女友達に言ってたみたいな猫なで声で、
たまには、「頑張りや。」と言って。
そうしたら、またひとつ増える笑い話。
だからずっと待っていよう。
世界でたったひとりの父親だったあなたに。
あなたに愛されたかった、幼い頃の私のままで待っていよう。
お父さん。
お誕生日おめでとう。
一度も一緒にお酒を飲むことはなかったけど、今日は空の上に杯をかざして。
乾杯を・・・
おめでとう。















