(過去のブログ記事を基に時点修正しております)





非常に親近感のある動物が『馬』でして、小さいころやたらと描きまくったのを覚えています。
テレビに映るサラブレッドの美しい姿に、その馬自身や周囲の人々のかかわりなども絡んでくるといよいよ思い入れが激しくなります。

そこで、個人的に思い入れの強い、三頭の競走馬をご紹介したいと思います🏇





まずは



トウカイテイオー


 そんな出来すぎたシナリオを書いちゃダメだろ、と誰もが思うであろう、1993年の第38回有馬記念。1年前の同レースで一番人気に推されたその年の主役は出走直後の故障で11着惨敗、その後リハビリの間に自身3度目となる骨折をしてしまうなど引退がちらつきながらも、陣営が丹念に漕ぎつけた復活レースは同じ有馬記念。しかし当然ながらその間に勢力図は大きく変わり、とくに若い世代の充実著しいなか、雪辱の舞台に立つ。



 そのやわらかい駆けぶりが最大の特徴であるトウカイテイオー。皇帝・シンボリルドルフの初年度産駒として誕生。身体の柔軟性、サラブレッドのお手本のような立ち姿。美しく強いフォームで、ストライド大きく駆ける。など、調べるほどにこれでもか、という評価が並ぶ。

 4戦4勝で迎えたクラシック一冠目、皐月賞。大外8枠18番、単枠指定。優勝。続いて二冠目、日本ダービー。大外8枠20番、単枠指定。これも優勝。無敗の二冠達成、父以来の無敗の三冠馬誕生か、、、しかし左後脚の骨折が判明。夢や期待は幻に

 そのまま年を越し、古馬戦線に。挑むは春の盾。迎え討つは、メジロマックイーン。万能自在な強さを誇る最強の相手である。前哨戦の産経大阪杯を勝ちデビュー7連勝として『地の果てまで走れそう』と言おうものなら、『あっちが地の果てなら、こっちは天まで昇りますよ』と応酬。
 しかし、さすがに距離の壁もあったか、メジロマックイーンの5着に敗れる。そのうえ、今度は右前足の剥離骨折。2度目。
 復活の秋、さぁ今度こそ。熱発もあってぶっつけで挑んだ天皇賞・秋は、ハイペースに先行でレースを進み直線で失速、7着に敗れる。
 ともに1番人気で沈んだ天皇賞、春と秋。もう限界かと言われながら臨んだジャパンカップは、この年から国際G1レースとして認定され、海外招待馬は過去にない強豪が揃う。この史上最強メンバーを相手に、激しい叩き合いを制して、優勝。ここまで来ると、役者の違いを感じます。
 名誉復活、そして迎えた年末の大一番。。。ゲートで、あるいはスタート直後の接触で、などあるようだが腰の筋肉を痛めてしまい、、、



 それから一年。ジャパンカップを勝ったレガシーワールドが古馬代表格に。そして三冠レースを2・2・1着、秋を迎えてついに真価を発揮し出したビワハヤヒデ、ダービー馬を制し菊花賞・ジャパンカップともに3着好走のウィニングチケット。前年の菊花賞にこの天皇賞・春を制したライスシャワー、それから牝馬春二冠のベガ。1年前の有馬記念で代わって主役に立ったメジロパーマーがいて、素質抜群も勝ちきれないナイスネイチャ、実績抜群のホワイトストーンにセキテイリュウオー、そしてマチカネタンホイザもいる。前年3歳覇者(当時、今は2歳)のエルウェーウィンがいて、あとはエルカーサリバーにウィッシュドリーム。

 結果は、冒頭のとおり。いつも通りハナを奪ったメジロパーマーを最後の直線、満を持してビワハヤヒデがかわしにかかる。レガシーワールドは内で、ウィニングチケットは外で、それぞれいっぱいいっぱい。刹那、背後から襲いかかるトウカイテイオーの脚。懸命の叩き合いも半馬身かわしたところで『出来すぎたシナリオ』は見事に完結した。

 52週ぶりの実戦でG1勝利、中363日。出かけていて戻ると、亡くなった母が『トウカイテイオーが勝ったよ』って。すげぇ、勝ったんだ、って、茫然として、高揚感に包まれて。

 さて、年が明け、海外挑戦か、なんて話も出た折、4度目の骨折が判明、ついに引退した

 最後に、なんといってもイケメン馬の代表格。額からの綺麗な流星。均整のとれた佇まい。いつまでもたてがみも長く。
 血筋が良く、華があって、見目麗しく。競走馬としても超一流の戦績ながら、波瀾万丈。いわゆる『持ってる』馬。こんなん書こうとして書けない、いや書いちゃダメ。



 事実は小説よりも奇なり




 なお2023年2月18日にウィニングチケットが旅立つ、33歳の大往生。そして、トウカイテイオーの同期で有馬記念3年連続3着、という不滅の大記録を遺したナイスネイチャは、2023年5月30日に35歳の天寿を全うした。



トウカイテイオー
1988.4.20-2013.8.30
父:シンボリルドルフ
母:トウカイナチュラル
12戦9勝(うちG1 4️⃣勝:1991年 皐月賞、日本ダービー 1992年 ジャパンカップ 1993年 有馬記念)
1991年 年度代表馬
1995年 JRA顕彰馬