今年の大河ドラマをおもしろく拝見しています






 平安時代中期、遣唐使が廃止され、わが国独自の文化が花開く、貴族の政治の円熟期を、人間味豊かに丁寧に、色鮮やかに華やかに、描き出している印象があります。




 さて、ぼく自身の歴史へのとっかかりは基本的に『小倉百人一首』スタートなので、理解はこんな感じです。




 主人公は、紫式部(歌番号五十七)。
 今ひとりの主役、藤原道長は選ばれず。近しい人間とすれば、藤原公任(大納言公任、歌番号五十五)がいる。
 道長の父・兼家の兄は藤原伊尹(謙徳公、歌番号四十五)で、兼家の妻の一人である藤原道綱の母(右大将道綱母、歌番号五十三)は『蜻蛉日記』作者、このドラマでは石山寺で両者が出会い、紫式部が物語作品を書くきっかけ、示唆を与えるような場面がつくられていた。兼家の嫡男で道長の長兄にあたる道隆の妻は高階貴子(儀同三司母、歌番号五十四)である。

 なお藤原伊尹(謙徳公、歌番号四十五)の次男が藤原義孝(歌番号五十)、この人は双子で、藤原挙賢という兄とともに数え二十一歳の同じ日に世を去ったといわれています。

 赤染衛門(歌番号五十九)の姿もありました。藤原道長の妻となる源倫子の女房(宮仕えする女性)です。平兼盛(歌番号四十)の娘とされています。


 そして、このドラマ中では何かとお互いに気にかかり、気にかける存在である『枕草子』の作者である清少納言(歌番号六十二)。その随筆が書かれるまでの流れは実に見る人の心を動かすもので、でもきっとそうだったのだろうと多くの人が感じたに違いありません。
 ちなみに父は清原元輔(歌番号四十二)、そしてその祖父は清原深養父(歌番号三十六)。

 藤原道長との政権争いに屈した藤原伊周の息子が道雅(左京大夫道雅、歌番号六十三)、このあたりまでがカバーされそうです。



 そう、紫式部と藤原宣孝との娘が、大弐三位(歌番号五十八)。





今年の大河ドラマは、いとをかし。あはれなり。