デッドエンドの思い出 (文春文庫)/よしもと ばなな

結構前に読み終わってたんですけど、感想書くの忘れてましたショック!あせる


短編集だったんですけど、今まで読んだよしもとばななさんの本の中で

個人的にかなり上位に入るぐらい、面白い作品でしたきら


今までは、『読み流す』って感じの読み方をしていたのを、

今回は言葉のひとつひとつの意味をしっかり消化しながら読んでいったせいもあるかも。



では、感想読書中書きます音譜


① 『幽霊の家』


珍しく、官能的なシーンが出てくるのが印象的でした。

しかも結構生々しい。

彼女は、人が感覚でしか捉えてない部分を文字に起こすのがお上手だなぁ・・・

とホントに感心してしまう。。


幽霊の老夫婦の話、そして奇跡のような再会。

小さな幸せが繋がりあって、この世界を形成している。

そんなことを思わされました。



② 『おかあさーん!』


ある意味、この短編集の中で一番印象に残った作品です。


毒物入りのカレーを食べてしまった主人公。

体の変化によって心まで毒されていく様が、とても怖かった。


まるで眩暈を起こしたときに見るようなぐらぐらした世界に引きずりこまれて、

そこで生活せざるを得なくなった人のようだった。


その事件によって変化していく主人公と周りの人々の心が、すごくリアルでした。

重い病気や事件に巻き込まれた人にしか分からないような感覚なんじゃないかなぁ・・・。


あと、最後の方で主人公が見る自分の幼い頃の夢天使

これがちょっと怖くもあり、でも凄く優しくて愛情に包まれていて、

小さな頃に感じていた親の愛情とか、絶対的な何か。愛とか、優しさ。

そういうものがイメージとして甦ってきました。


何だか切なくなりましたウルウル


そして最後の一節が、とーっても深い。


人と人との出会い・関係は、ちょっとのタイミングのズレで全く違うものになってしまう。

あの頃仲が良かったあの人とは、どうしてもう連絡を取らなくなってしまったんだろう。

とか、何故あの人と私は出会ったんだろう?とか・・・


人生の中での『巡り合わせ』の奇跡を感じました流れ星



③ 『あったかくなんかない』


読んでいる途中で一番ハラハラドキドキしました(笑)。

でも、一番切なくて悲しい物語・・・。


まことくんみたいな少年、いるよね。

子供なのに、何処か瞳が老成していて、何でも見透かしてしまいそうな子。


特別な感覚を持った人は、やっぱり短命なんだろうか?と思ってしまう流れ星

(あっ、これネタバレっすね・・・笑。まだ読んでない人は見なかったことに←)


タイトルにもなっている『あったかくなんかない』。

この言葉の意味、分かる気がするなぁ~。


やっぱり、人の生み出すものこそが暖かいんだよね。

心がこもっているものとか。

手作りの料理が何故かおいしく感じるのも、そういうことなんだろうな。



④ ともちゃんの幸せ


自分のことを『ともちゃん』と呼びながら進んでいく文章に、ちょっと戸惑いました・・・笑

どうしちゃったんだろう?みたいな。

でも、この壊れ具合がまた、いい。


ともちゃんを傷付けた幼馴染の男の話、その後の男が受けた呪いのような仕打ちが怖かった。


彼女の小説に時々出てくる、毒々しいほどの闇でしたね。


最後の一節もこれまた深くて、私は涙が出ました(=´;ω;`=)


きっと、今やこれまでがどんなに辛くても、何処かで誰かがあなたを見守ってくれている。

あなたが独りで耐えていることを、その誰かは知っている。


そのことに気付かされるような一節でした。


ばななさんは、いろんなことを悟っていらっしゃる。。凄い。きら



⑤ デッドエンドの思い出


西山君のような人がいたら、間違いなく私は惚れています。笑


純粋で明るいけど苦労している人は、人の痛みが分かるものね。


主人公の人の良さというか弱み?が切なかったなぁ・・・。

恋愛は、信じていたものがいつの間にかすれ違いを起こして、

もう戻らないものになってしまったりするよね。


友情と恋愛の違いって不思議です。


主人公と西山君が枯葉が積もった道を歩いていくシーン、

とてもイメージが沸いたし、幸せの象徴って感じがしました。




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よしもとばななさんの書く文章の中には、いつも神聖なものが潜んでいる気がします。

彼女はきっと良いアンテナを持っていて、神様からの言葉をキャッチするのが得意なんじゃないかしら天使

『天からのお言葉』みたいな文章がつらつら~っと書かれていて、いつも泣きそうになってしまう。


完全にばなな色に染まった■Phoebe■の感想でした(笑)。


最後まで読んで下さった方に感謝星はーと