）の毎日でしたので、
それでは前回の続き、
綴っていきたいと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
14歳でステロイド標準治療をやめ、壮絶な脱ステ体験をしましたが、
高校を卒業する頃には、
アトピー症状は治まってきていました。
それからも季節の変わり目
（私の場合は、春先の花粉の時期や空気の乾燥する9月以降が特に
調子が悪くなり、逆に夏は調子が良かったです）、
海外旅行中や、大きなストレスがかかったタイミングなどに
悪化することはありましたが、２、３ヶ月もすれば
ほうっておいても治る程度でした。
そんな私が、再び37歳で
20年ぶりに「脱ステ再来？」かと思うほどの
アトピー激悪化を経験することになり、
（その経緯はこちらのブログに以前書いていたかと思うので割愛しますが）
約8年かかって、自力で回復した今、
今は亡き原先生のご著書を手にとり、
込み上げる思いがたくさんありました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昭和52年、
ハワイ大学皮膚科のアーノルド教授は
乳幼児のアトピー性皮膚炎にステロイド軟膏の常用は避けた方が良いと
警告しました。
理由は小さなお子さんの生成が阻害されるからです。
私のクリニックの経験でも、あかちゃんの顔にステロイド軟膏を塗り続け、中止した後、
顔が真っ赤に腫れ上がったのを
何回も見ております。
その状況は悲惨の極みです。
やむなく、またステロイド軟膏に救いを求めてゆく姿を見て涙を流しました。
アトピー性皮膚炎は、
「ぬり続けたステロイド軟膏を止めれば治る」という
簡単な問題ではありません。
ステロイド軟膏をやめて、
薬効も何もない白色ワセリンで治してゆくにはどうしたらよいかを、
真剣に考えて対策を立てる時代になっているのです。
それができなくて何の医学かと思いますし、
そのために素人療法が専門医を抜きにして
公然と行われるようになったのではないかと思えるのです。
（「さよなら！ステロイド軟膏」より抜粋）
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アトピーの記録を綴った、
こちらのブログを閉じることをきっかけに
数十年ぶりに開いた本。
わたしはこの本を、クリニックをやめてから一度も開いたことがありませんでした。
その理由は、クリニックに通っていた頃の記憶を振り返りたくなかったことがひとつ。
それともう一つは、こんなに古い時代に書かれた本に、学ぶことはないだろうと
思っていたんですね。
が、先生はもう何十年も前から、
私が思っていたよりずっと先の未来を、
アトピー患者のずっと先の未来を、
真剣に考えていてくださいました。
先生がどれだけ心を砕いて診療をしていたか、
先生がどれほどのエネルギーと時間を、患者のために使っていたか、
誰よりも研究熱心だった先生。
ページをめくると、
先生が私のような医学的知識もない子供にでも
自分の症状がわかりやすいように、
執筆してくださっていたことを感じます。
先生が、どれほど患者と対等に接し、
患者を信頼しようとしてくれていたのか。
精神的にも肉体的にも幼かった私が、
当時厳しいだけだと思っていた
先生の、本当の姿に今出逢い直しています。
先生はすでに、この世にはいらっしゃいません。
わたしはもう、先生に
感謝の言葉ひとつお伝えすることはできないということが、
唯一の心残りです。