2023年8月31日、株式会社セブン&アイ・ホールディングスが傘下企業 株式会社そごう・西武の米国投資ファンドへの保有全株式を売却することを取締役会にて決定した。

同日、そごう・西武に勤務する職員/被雇用者/労働者で組織されるそごう・西武労働組合は東京 池袋駅併設の西武百貨店池袋本店勤務の組合員によるストライキを決行。

同店は31日の臨時休業を余儀なくされた。

 

このことは前日、30日より報道各社にて“百貨店における61年ぶりのストライキ”と報じ、「大変珍しいことが起きた」かのような取り扱いをしていた。

 

本日と明日2日に渡り『M&Aとストライキ』と題し、この一連の騒動と大愚者経営層並びに社畜被雇用者の無様な醜態を分析してみようと思う。

 

 

私は法政大学 法学部で「信託法」並びに「商法/旧 証券取引法(現 金融商品取引法)」を専攻した。

「信託法」は信託の運用/管理/監督を統制し、「商法」は商取引に関する行為、商行為の運用/管理/監督を統制、「旧 証券取引法(現 金融商品取引法)」は金融商品取引の運用/管理/監督を統制する法規である。

その中でも「商法」並びに「旧 証券取引法(現 金融商品取引法)」双方が密接に関わる商取引にM&A Marge & Acquisition  企業の吸収&併合がある。

日本においては単純に「企業買収」と呼ばれることが多いが、実際のM&Aには大変多くの手法が存在し、また敵対的M&Aへの対抗措置手段も多数創設されている。

このような「特異なバック・グラウンド」を持つ私が今回の傘下企業売却とそごう・西武労働組合所属職員/被雇用者/労働者の選択肢のなさと傘下企業売却への舵を切った無能な現代日本人経営層を分析してみることにする。

この記事を書くためだけに、酷暑さ中38℃を超える居宅より冷房の効いたミスタードーナツにPCを携え両脚膝下筋肉硬直と闘いながら8月31日、9月1日両日に渡り記述してきた。

 

まず、“百貨店における61年ぶりのストライキ”を決行したそごう・西武労働組合にエールを送りたいと思う。

雇用者と被雇用者ではその持つ権力の圧倒的な違いにより職員/被雇用者/労働者のほうが立場は壊滅的に弱い。

「ブラック職場/企業」と呼ばれる組織では大方、この経営層が手にしている権力を振りかざし、従順ではない職員/被雇用者/労働者を捻じ伏せているのが実態だ。

まぁ、現代日本社会において「気骨ある職員/被雇用者/労働者」の方が「ほぼ絶滅種」だと思うが、どのような不平等労働契約【非書面化のものを含め】であったとしても「大人しくしているしか生存方法はない」とばかりに「家畜化された職員/被雇用者/労働者」の立場からの脱却など考えず不本意ながらも従順に日々業務を遂行している。

私から言わせれば「哀れな存在」だと思うし、実際そのような立場の職員/被雇用者/労働者はその程度の扱いが妥当だとも感じている。

年収400万円の人材が他社転社/転職したところで、精々440万円に年俸が上がれば上等だと思う。

 

そのような中、そごう・西武労働組合は身を挺して「自社の売却」へ細やかながら反旗を翻すという快挙に打って出たわけだ。

結果はストライキ前から判別していることであったとしても、その「気骨溢れる決定」を世間はどう評価しているのか大変興味がある。

 

しかしながら、圧倒的に立場が弱い職員/被雇用者/労働者では企業側の経営判断を簡単に覆すことは絶対にできない。

今般の株式会社そごう・西武の株式の米国投資ファンドへの売却額は2,200億円程度と報じられている。

個人の生涯賃金が優良大企業で2~3億円、中小企業で1.5~2億円、零細企業以下だと精々1億円に届くかどうかというのが現状日本における所得水準だ。

優良大企業勤務の人物でも2,200億円などという金額は用意できる代物ではない。

生涯賃金が2.5億円と仮定しても880人分の生涯賃金が必要となる。

 

ここでお考えいただきたいのが、今般そごう・西武労働組合が西武百貨店池袋本店でストライキを決行したその原因は「自分たちの雇用が保証されない」との理由からであり、大愚者経営層が「雇用の担保/保証」を売却条件に付帯する若しくは同業他社(百貨店業界)との経営統合という条件であれば一連の騒動は起きなかったと断言できることだ。

 

従前より私は現代経営層の無能ぶりを主張しているが、どうにも大愚者の集団、烏合の衆経営層は長期的なビジョンどころか自分たちの真の経営資源がどこに所在しているのかを履き違えていると感じている。

いみじくも、西武百貨店池袋本店のストライキが決行された当日朝、テレビ朝日放映「羽鳥慎一のモーニングショー」にて農業企業経営者が「全職員の年収1,000万円を目標としている」とのプログラムを放映していた。

 

企業組織はその組織に所属する職員/被雇用者/労働者が最も高付加価値を生み出す経営資源であり、その職員/被雇用者/労働者を散々使い捨てにしてきた大愚者集団、烏合の衆経営層が壊滅的衰退を辿るニッポン経済の大きな原因だと分析している。

 

過日、『××手当ほど下らない給与はない (2022年7月2日ポスト分)』並びに『「弔い合戦」にしてはいけない (2022年7月10日ポスト分)』、『根本的に学校教育が間違っている (1月23日-26日ポスト分)』記事内で触れたことだが年俸で1,200万円も手にできれば、大抵の人は命令されずとも馬車馬宜しくセッセと働く生き物だと認識している。

当然のことながら経営層は現状よりも更に高い付加価値を生み出さなければ高額の年俸を報酬として支払うことはできない。

だが、百貨店業界は自身で付加価値を高める努力を怠り、モノを右から左に流すことしかしてきていないのではないか?

また、組織に雇用されている職員/被雇用者/労働者も就業現場からより付加価値の高くなる業務改善/改革、業務創造を試みたのであろうか?

 

私には法政大学で同じ飯を食った2人の百貨店就職者がいる。

現在、まだ就業継続しているかは不知なるも、大学を卒業して百貨店勤務を選択することに多少なりの違和感を覚えるのが本音だ。

無論、百貨店就業者全員が一生「売り子」の立場だけだとは思わないが、果たして大学を卒業して進む道として相応しいものか一抹の疑念が残る。

勿論、海外へ買い付けに飛ぶバイヤーであれば旅行業界慣習に語学、物流、通関、各国公租公課制度その他高度な専門知識を要する見識を身につけておかなければならない以上、大学以上の修学者を求めるのは当然だと思う。

であるならば、今回西武百貨店池袋本店勤務のそごう・西武労働組合 組合員はどうして「売却終了後、パートナーとして参加予定の家電量販大手ヨドバシホールディングスの入居」に異議を唱えるのか?

 

家電量販店は百貨店以上に高度な修学者を求めていないことは周知の事実だと思うが(売り子だけが必要な業態)、自分たちの身分『職員/被雇用者/労働者』である以上、その身分の不安定さはどのような組織に保有されども永遠に変わることはない。

だが、今回株式会社セブン&アイ・ホールディングスが多額の損失を放棄してまで手放す百貨店事業を【一般的なLeveraged Buyoutの意ではない】LBО Laborer By Out 労働者による企業買収として、独自の百貨店業務の再構築を目指すという手法を検討しなかったのであろうか?

現に西武百貨店池袋本店を含め入居する建造物所有者はヨドバシホールディングスであり、自分たちは既に「店子」の存在でしかないことをどう自己評価しているのか。

 

,200億円での株式譲渡に伴いそごう・西武への貸付金800億円を放棄した事実から、実質手にできた金銭価値は1,400億円ということだ。

ならば、生涯賃金2.5億円で再計算を行えば560人分の生涯賃金となり、現役を退いた元職員/被雇用者/労働者も巻き込み現役、退役職員/被雇用者/労働者、関係者から出資を募るという方法があったのではなかろうか?

 

単に「反対」では何も変わることはない。

 

次回に続く