銀杏の葉とゲーテの恋文 | ただ、過ぎに過ぐるもの

Ginkgo Biloba

Goethe 1749-1832


Dieses Baums Blatt, der von Osten
Meinem Garten anvertraut,
Giebt geheimen Sinn zu kosten,
Wie’s den Wissenden erbaut,
Ist es Ein lebendig Wesen,
Das sich in sich selbst getrennt?
Sind es zwei, die sich erlesen,
Daß man sie als Eines kennt?
Solche Frage zu erwidern,
Fand ich wohl den rechten Sinn,
Fühlst du nicht an meinen Liedern,
Daß ich Eins und doppelt bin?

 

 

ー 日本語訳 ー
銀杏の葉

訳詩:井上正蔵 1913-1989

*ゲーテ詩集から
 

これは はるばると東洋から
わたしの庭に移された木の葉です
この葉には 賢者の心をよろこばせる
ふかい意味がふくまれています
これはもともと一枚の葉が
裂かれて二枚になったのでしょうか
それとも二枚の葉が相手を見つけて
一枚になったのでしょうか
こうした問いに答えられる
ほんとうの意味がどうやらわかってきました
わたしの歌を読んで

あなたはお気づきになりませんか
わたしも一枚でありながら

あなたとむすばれた二枚の葉であることが

 

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この詩は

ゲーテが、若い恋人に

銀杏の葉を添えて送った恋文です

1815年作ということですから

ゲーテ65~66歳の時のもの

いつまでも若々しく

ロマンチストなのですね

 

銀杏といえば、京都御苑

黄金色した道を踏みしめながら

お散歩するのが秋の慣し

 

そして、今は神宮外苑

コロナ禍以前は、黄金のトンネルを

ときおり歩いて愉しんだもの

 

*数年前の11月中旬 

黄葉の始まりの頃のぼかし写真

 

o l i v e