りんどうのような人 | ただ、過ぎに過ぐるもの

りんだうは 実をもちながら 紫の

いよいよ深く 草に交れり

土屋文明 
1890-1990
 
 
 
 
竜胆(りんどう)
野に咲いてこそ美しさがきわ立つ花
 
花言葉は
悲しんでいるあなたを愛する
 
 
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りんどうで思い浮かぶのは
伊藤左千夫(1864-1913)の
『野菊の墓』
 
15才の少年政夫と17才の従姉民子
叶わぬ切ない恋を
回想形式で描いた小説です
 
この中で
政夫が民子のことを
「野菊のような人」と言ったあと
民子が政夫のことを
「りんどうのような人」と言う
シーンがあります
 
中学生だった私は
民子のことを
「野菊のような」と形容するのは
納得できたのですが
政夫がなぜ「りんどう」なのか
想像できなく
考え込んでしまいました
 
以来、私には
りんどうは謎の花になりました
 
 
 
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