to my mother | ただ、過ぎに過ぐるもの

 

 

 

Because I feel that,  in the heavens above,

The angels,  whispering to one another,

Can find, among their burning terms of love,

None so devotional as that of "Mother,"

 

from To My Mother

by Edgar Allan Poe (1809-1849)

 

 

わたしは思うのです 

天上の天使たちでさえ
互いに愛をささやきあうとき
母の愛にまさる

献身的な愛の言葉を
思いつかないのではないかと
 

 

 

 

 

 

 

この詩を読んでたら

無性に母が恋しくなった

 

父の愛は

大きくて深くて無尽蔵だったけれど

底に厳しさが潜んでいた

私が悪いことをした時には

とことん

責任をとらされた

 

いつも冷静な父と異なり

母は感情豊かな人であった

 

姉や兄には厳しかったようだが

歳の離れた末っ子の私には

優しく甘く

なにをしても許してくれた

我儘の度が過ぎて

叱られることもあったが

父のような厳しさはなかった

 

私が幼かったときの母は

いつも着物を着ていた

 

春になると着物をほどき

洗い張りをして

また縫った

 

母の弾く琴の音は

流麗で美しかった

 

琴にむかってる母は

子供心に

いつもの母と違って見えた

 

造り酒屋の長女として生まれた母は

蝶よ花よと育てられたという

母の祖父は国学に秀で

正岡子規の門下生でもあった

 

司馬遼太郎の『坂の上の雲』の

裏話をよくしてくれた

もっとも

母も伝え聞いた話をしてるだけ

 

夫である父を亡くした後の

母の凛とした姿は

私も見習いたいものと思う

 

私は姿形も性格も

父に似ていると言われる

母が私に与えてくれたような愛情を

娘に注いでいるだろうか

 

 

 

o l i v e