2014年は夏以降、国内での引越しがあり新生活のどたばたであまり読書もはかどりませんでしたが、読書メーターを見返すと結構心に残る作品が多く、やっぱり細々とでも続けて読んできて良かったなーと思いました。
以下、2014年に読んだ本・漫画から最も心に残った作品を順不同で記します。一応最後の方にベストを持ってくるようにしました。タイトルをクリックすると感想記事に飛びます。
それでは、レッツ・ゴ
「日の名残」 カズオ・イシグロ
20年位前に映画化されかなり評判が高かった作品で、私を含め映画だけを観て満足してしまっている方も多いのではないでしょうか。
とってももったいないです
原作の味わい深さは格別で、映画で重点を置かれてしまった恋愛要素だけではない、もっと大きなテーマが仕込まれています。いつか原語でも読んでみたい。
「キャパの十字架」 沢木耕太郎
キャパの写真にひそんだ謎に迫るドキュメンタリー。とにかく沢木さんの天才的な取材力と筆致の大勝利作品。使い古されたテーマでもいくらでも新しく面白く書き直すことが出来るということの最良例でもある。
事実のみを淡々と連ねるのでなく最終章でキャパの背負ったであろう十字架にまで思いを馳せる沢木氏の想像力がノンフィクションに命を吹き込んだような印象を受ける。
「ロマンス」 柳広司
完成度は低いかもしれない。でもなぜか私の心を捕らえて離さない作品。
不穏な昭和の華族社会、眉目秀麗な青年子爵、ため息・・・
「それでも、やさしい恋をする」 ヨネダコウ
ヨネダさんの作品は必ずベスト入りしてしまうという。本当いい作品を描かれますね。心理描写が丁寧だからかな。
「どうしても触れたくない」で出てきた小野田課長が主人公のスピンオフだけど、お相手の方の出口晴海がいい。男前と乙女のバランスが絶妙なのよ!
「羊の目」 伊集院静
映画でもノンフィクションでも小説でも漫画でも日本のヤクザが出て来るものは好んで観たり読んだりしてきたつもりですが、これはかなり理想に近い任侠の世界を描いてくれている作品です。
確かに終盤迷走してる感はあるけど、血のつながらない親子の絆のゆるぎなさには本当にぐっとくるものがありました。
「秘密 トップ・シークレット」 清水玲子
少女漫画の底力を見るような思いで読みました。感無量。美麗な主人公、オカルト風味な社会事件と男性同士の友情以上恋愛未満な関係、どれをとっても完成度が高い。
きっとこれからも読み返すであろう名作。
「天使の影」他 アドリアン・イングリッシュ シリーズ (1)(2)(3) ジョシュ・ラニヨン
まだ読んだばかりで新鮮だからいいと感じるのか?でも、そういうのを差し引いてもこれほど引き込まれたのは今年一番かも。あまりにあまりで続きを原書で読んでしまったほど。(そこから今ちょっと洋書・洋物ブーム中)
ゲイ・ミステリ・ロマンスという日本では存在しないといっていいジャンルの翻訳もの。この作品でいいのはやっぱりシリーズを通してがっつりアドリアンとジェイクの関係が読めるから。確実に成長しているというか、影響しあって一つ一つ積み上げてく感じがすごく良かったの。殿堂入りです
「怒り」 吉田修一
2014年はやはりこれがダントツ・トップの小説でした。吉田ファンとしてもこれは嬉しい。何ていうか僭越ながら、書いても書いてもクオリティが下がらないどころかどんどん上がっていてこれからどんな大作、傑作、名作を書いてくれるんだろうってとても楽しみな作家さんです。過去作品も含め、個人的に読んでハズレなし。
実際の事件にインスパイアされて小説を書くスタイルは良くあると思うけど、「怒り」は今まで出会った中で最も成功している作品だと感じました。三つのお話が同時進行していく構成もうまいし、こういう残忍な犯罪を扱っているのにテーマのフォーカスが犯罪そのものからちょっとそらされているところが憎い。何より「人間」を書いてるんだよ、吉田さんはいつも。
一生吉田修一についていく!と心に誓った作品。
2014年 読書総括
冊数は相変わらず芳しくなかったけど、ひとつひとつのインパクトが強くて、次点としてあと数冊挙げても良かったんだけど、それだと読んだ本の二割くらい選んでないか?ってことになってしまうのでやめました・・・。
教養本も「宇宙」とか「人間」「死生」をテーマにしたものをいくつか読めて楽しかった。
年の終わりに勢いで洋書を読んでみたんだけど、今夏手に入れたiPadで辞書機能を使いながら読んだらあまりにスラスラいけるんでびっくり。洋書読みのネックはこの辞書引きの面倒さにあったんだなと改めて実感。画面上でワンタップで簡単な意味が即表れるのは実にいいよ!「さっき調べたばっかなのにもう忘れた!!」って場合でもなーんの手間もかかりません。これは癖になりそう。ただEインク画面じゃないので目が疲れるのが唯一の問題点です・・・。
というわけで、来年は引き続き洋書にも手を広げたいなと思ってます。(今のところゲイ・ロマンスしか読んでないので感想も書きあぐねておりますがその内・・・)
ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。ブログを読んで下さっている皆様、来年も宜しくお願いいたします。
良いお年をお迎え下さい
以下、2014年に読んだ本・漫画から最も心に残った作品を順不同で記します。一応最後の方にベストを持ってくるようにしました。タイトルをクリックすると感想記事に飛びます。
それでは、レッツ・ゴ
「日の名残」 カズオ・イシグロ
20年位前に映画化されかなり評判が高かった作品で、私を含め映画だけを観て満足してしまっている方も多いのではないでしょうか。
とってももったいないです
原作の味わい深さは格別で、映画で重点を置かれてしまった恋愛要素だけではない、もっと大きなテーマが仕込まれています。いつか原語でも読んでみたい。
「キャパの十字架」 沢木耕太郎
キャパの写真にひそんだ謎に迫るドキュメンタリー。とにかく沢木さんの天才的な取材力と筆致の大勝利作品。使い古されたテーマでもいくらでも新しく面白く書き直すことが出来るということの最良例でもある。
事実のみを淡々と連ねるのでなく最終章でキャパの背負ったであろう十字架にまで思いを馳せる沢木氏の想像力がノンフィクションに命を吹き込んだような印象を受ける。
「ロマンス」 柳広司
完成度は低いかもしれない。でもなぜか私の心を捕らえて離さない作品。
不穏な昭和の華族社会、眉目秀麗な青年子爵、ため息・・・
「それでも、やさしい恋をする」 ヨネダコウ
ヨネダさんの作品は必ずベスト入りしてしまうという。本当いい作品を描かれますね。心理描写が丁寧だからかな。
「どうしても触れたくない」で出てきた小野田課長が主人公のスピンオフだけど、お相手の方の出口晴海がいい。男前と乙女のバランスが絶妙なのよ!
「羊の目」 伊集院静
映画でもノンフィクションでも小説でも漫画でも日本のヤクザが出て来るものは好んで観たり読んだりしてきたつもりですが、これはかなり理想に近い任侠の世界を描いてくれている作品です。
確かに終盤迷走してる感はあるけど、血のつながらない親子の絆のゆるぎなさには本当にぐっとくるものがありました。
「秘密 トップ・シークレット」 清水玲子
少女漫画の底力を見るような思いで読みました。感無量。美麗な主人公、オカルト風味な社会事件と男性同士の友情以上恋愛未満な関係、どれをとっても完成度が高い。
きっとこれからも読み返すであろう名作。
「天使の影」他 アドリアン・イングリッシュ シリーズ (1)(2)(3) ジョシュ・ラニヨン
まだ読んだばかりで新鮮だからいいと感じるのか?でも、そういうのを差し引いてもこれほど引き込まれたのは今年一番かも。あまりにあまりで続きを原書で読んでしまったほど。(そこから今ちょっと洋書・洋物ブーム中)
ゲイ・ミステリ・ロマンスという日本では存在しないといっていいジャンルの翻訳もの。この作品でいいのはやっぱりシリーズを通してがっつりアドリアンとジェイクの関係が読めるから。確実に成長しているというか、影響しあって一つ一つ積み上げてく感じがすごく良かったの。殿堂入りです
「怒り」 吉田修一
2014年はやはりこれがダントツ・トップの小説でした。吉田ファンとしてもこれは嬉しい。何ていうか僭越ながら、書いても書いてもクオリティが下がらないどころかどんどん上がっていてこれからどんな大作、傑作、名作を書いてくれるんだろうってとても楽しみな作家さんです。過去作品も含め、個人的に読んでハズレなし。
実際の事件にインスパイアされて小説を書くスタイルは良くあると思うけど、「怒り」は今まで出会った中で最も成功している作品だと感じました。三つのお話が同時進行していく構成もうまいし、こういう残忍な犯罪を扱っているのにテーマのフォーカスが犯罪そのものからちょっとそらされているところが憎い。何より「人間」を書いてるんだよ、吉田さんはいつも。
一生吉田修一についていく!と心に誓った作品。
2014年 読書総括
冊数は相変わらず芳しくなかったけど、ひとつひとつのインパクトが強くて、次点としてあと数冊挙げても良かったんだけど、それだと読んだ本の二割くらい選んでないか?ってことになってしまうのでやめました・・・。
教養本も「宇宙」とか「人間」「死生」をテーマにしたものをいくつか読めて楽しかった。
年の終わりに勢いで洋書を読んでみたんだけど、今夏手に入れたiPadで辞書機能を使いながら読んだらあまりにスラスラいけるんでびっくり。洋書読みのネックはこの辞書引きの面倒さにあったんだなと改めて実感。画面上でワンタップで簡単な意味が即表れるのは実にいいよ!「さっき調べたばっかなのにもう忘れた!!」って場合でもなーんの手間もかかりません。これは癖になりそう。ただEインク画面じゃないので目が疲れるのが唯一の問題点です・・・。
というわけで、来年は引き続き洋書にも手を広げたいなと思ってます。(今のところゲイ・ロマンスしか読んでないので感想も書きあぐねておりますがその内・・・)
ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました。ブログを読んで下さっている皆様、来年も宜しくお願いいたします。
良いお年をお迎え下さい