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甲府での滞在中に読もうと、以前から読みたかった小説を何冊か購入したolive。
でも、一番読みたいこの小説は、病院で読むには、なんとも、タイトルが・・・💦
 
去年、内館牧子氏の「終わった人」を読んで、その痛快な面白さにすっかり魅了されたolive。
「終わった人」は、定年を迎えた男性の話だったけど。
この「すぐ死ぬんだから」は、78歳の女性が主人公。
この過激なタイトルには、ギョッとするけれど・・・
内館氏の最新作だし、帯に書かれた絶賛の言葉からも、期待に胸が膨らむ~~!
 
娘の大事な手術の日なのに・・・
読み始めたら、止まらない~~!
時折、声をあげて笑いたくなるけど・・・我慢、我慢。
かと思うと、うーーーん、と考えさせられる。
 
78歳の主人公ハナは、60代まではまったく身の回りをかまわなかったが、ある日、実年齢より老けて見られたことがきっかけで、「外見を磨く」ことに目覚める。
「どうせすぐ死ぬんだから」と自分に手をかけず、外見を放りっぱなしの生き方に大反対!
女性であることを放棄せず、女性として生まれたからには生きている限り「女性」であることを楽しむ!
 
そんなハナは、「折り紙」が趣味の優しい旦那様に愛されて。
「オレ、人生で一番よかったのはハナと結婚したことだな」
なーんて、言葉をサラッと言ってくれる。
「老化って言われる年まで、アンタと力を合わせて・・・夫婦って半端な縁じゃないよね」
息子夫婦に酒屋の商売を譲り、近くに娘夫婦と孫娘も住んでいて、オシャレで楽しい老後を過ごしている。
唯一の悩みは、嫁の由美が、身の周りをまったく構わず、絵ばかり描いている事・・・
 
そんな平和な老後がいつまでも続くと思っていたら、突然・・・
と話は急展開!
あれよ、あれよ、と、内館ワールドに惹き込まれていく。
 
小説の中に登場する印象的な言葉が二つ。
「平氣で生きている」
正岡子規の「病床六尺」の中の言葉らしい。
80歳を前にした夫婦だからこそ、「平気で生きる」ことの難しさは痛いほどわかっている。
読者も、わかっている。
何があっても平気で生きてやる・・・と思っていても、そう簡単ではないし、人生は長い。
 
「裏を見せ表を見せて散る紅葉」
良寛和尚が貞心尼(テイシンニ)に送った辞世の句と言われている。
読者は、この句を読んで、まっ先に、それぞれの自分の伴侶を思い描くのでしょうが・・・
oliveの心にいつまでも残るこの句は、小説の中で、意外な使われ方をしています。
 
そう。
あんなに優しく、あんなに愛してくれていたハナの旦那さんには、「裏」があったのです~~
そんな時にも、果たして、「平気で生きて」いけるものでしょうか・・・
 
ネタばれにならないように、これ以上は、我慢しなくちゃ。
 
「すぐ死ぬんだから」
いつかolive自身もそんな言葉を口にする日がくるのかも。
そう遠くない日に。
その時には、この小説を思い出して。ハナの生き方を思い出して。
女性として、生き生きと、自分を放棄せずに、自分を慈しんで・・・
「品格のある衰退を」。
 
人生100年時代の新「終活」小説。
映画化される日がくるんじゃないかなぁ~と思いますが。
タイトルにギョッとせず、どうか手に取って。
すぐ死ぬんだから・・・だからこそ、今を生きましょう!