じょんならん(自由にならない)162回直木賞受賞作~川越宗一「熱源」感想~ | oliveのドラマ帳~風に吹かれて~

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朝ドラ「スカーレット」から、連続ドラマの感想を、
ひと味加えて、自分味に料理します。
ゆるりとご試食くださいませ♪

昔に比べると方言が薄れてきているように思う。
若者たちが喋ってる現場に遭遇すると、ほぼ標準語に近い言葉で話しているような気がする。
生まれた時から標準語で学んできた若者たちや私たちとは違い、
私の祖父母世代(明治生まれ)だと、方言がきつくちょっと何言ってるかわからない状態だった。
だから、わかる単語だけでテキトーに返事してたっけ(;^ω^)

標準語が誕生するまでは、日本人同士なのに言葉が通じない時代があったのよね。
住む場所、身分、性別でも話し言葉が違っていた時代があったのよね。
コミュニケーションをとるために、他人同士が共通の言語で話せることで作られた標準語はありがたいけど、
その地域で生まれた文化を奪ってしまっている・・・けれでも文化のひとつである方言は今でも残っているのも確かで、
その地域でしか通じない言葉がある限り生き続けるのだろうな~

歴史小説って苦手・・・と避けていたけど、

第162回直木賞受賞作ということで手に取った一冊。

川越宗一 「熱源」

 

 

 


 樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。
一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。
日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。
文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。
樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。
金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。(あらすじより)


アイヌの子として生まれたのに和人(日本)によって言葉も文化も変えざるを得ないヤヨマネクフ。
リトアニアで生まれたポーランド人なのにロシアによって言葉も文化も変えざるを得ないブロニスワフ・ピウスツキ。
この二人の男性を軸に明治から昭和(終戦)までの葛藤が樺太を中心に描かれていた。
自分の国の言葉や伝統的な文化を奪われ、
じょんならん(←讃岐弁で自由にならない)中でヤヨマネクフが見つけのは、

 「俺たちはどんな世界でも、適応して生きていく。俺たちはアイヌですから」
「アイヌって言葉は、人って意味なんですよ」
強いも弱いも、優れるも劣れるもない。生まれたからは生きていくのだ。すべてを引き受け、あるいは補って。生まれたのだから、生きていいはずだ。(本文より)


一方のブロニスワフ・ピウスツキは、

「弱きは食われる」競争のみが生存の手段である。そのような摂理こそが人を滅ぼすのです。だから私は人として、摂理と戦います。人の世界が摂理であれば、人が変えられる。人知を超えた先の摂理なら、文明が我らの手をそこまで伸ばしてくれるでしょう。私は、人には終わりも滅びもないと考えます。(本文より)

国も民族も時代も交差するのに渋滞することなく話が進みグイグイ引き込まれる。
この物語の男たちは、自分という熱を持ち次の世代へと源バトンを渡そうと挑み続ける。
この物語の女たちもいいぞ。強くて逞しくて凛としてユーモアがある女たちが多く登場する。
そして何よりも最強と思えたのは、自分の道は自分で選んでいる。
優勢劣敗は自然な道理だとあきらめていることはないか?
自分というものを持つことに勇気がいるのは今も昔も変わらないが、
彼らの彼女たちの言葉に行動に背中を押された。
だからバトンを受けた我々が何を思うのかを考えたい。

どこぞの政治家の先生が語ってましたが・・・
決して、2千年の長きにわたって、一つの民族、一つの王朝が続いている国なんかじゃないのよ!日本は。

人(アイヌ)が樺太などを拠点とし自然と共に暮らしてきた先住民族がいたのよ。

苦手だーー!と避け続けていたら知ることができなかった。
触れると興味に変わり、なぜ?に変わり、動かされる心とカラダの熱となる。
私の熱が誰かの熱に伝われば嬉しいなぁ~

 

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