人はかわいそうで出来ている!?~「あのひとは蜘蛛を潰せない」感想~ | oliveのドラマ帳~風に吹かれて~

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朝ドラ「スカーレット」から、連続ドラマの感想を、
ひと味加えて、自分味に料理します。
ゆるりとご試食くださいませ♪

「かわいそう」とは、

同情なのか?見下しているのか?

自分の虚栄心を満足にさせるものか?

 

小学生の時に、自他とも認めるお姫様がいた。

すべすべての肌に可愛い瞳には、

可愛い服や可愛い髪飾りが似合っていた。

真似したくてもできない・・・自分なんてという気持ちが

ブレーキをかける。

だが、自分と同じでどこにいても色彩がなく、

よくいえば溶け込み、悪くいえばすぐに忘れてしまうような子が、

お姫様の真似をはじめた。

 

「かわいそうな子」

ちょっと小バカにしてほくそ笑む自分がいたのだが、

少女から大人になる手前に久しぶりに再会したその子は、

ファッション雑誌から飛び出てきたような華やかな女性に

なっていた。

 

だが、相変わらず真似して「かわいそうな子」と思えなかった。

彼女は、自分を手に入れたのだと思うと羨ましかったから。

 

遠い遠い、乙女時代を心地よく回想する自分は、

「かわいそうな子」でとまってしまっているのかもあせる

 

自分は真似も出来ないのに、色のついた子になりたいと・・・

自分を「かわいそうな子」だと酔いつつも、

自分より「かわいそうな子」を見つけてしまう。

 

蜘蛛一匹の始末も付けられないから、

自分の始末も付けられないのか。(本文より)

 

今回紹介するのは、「かわいそう」を抱える人たちの物語。

 

「あのひとは蜘蛛を潰せない」

 

 

ドラッグストア店長の梨枝は、28歳になる今も実家暮し。

ある日、バイトの大学生と恋に落ち、ついに家を出た。

が、母の「みっともない女になるな」という“正しさ”が

呪縛のように付き纏う。

突然消えたパート男性、鎮痛剤依存の女性客、

ネットに縋る義姉、そして梨枝もまた、かわいそうな自分を抱え、

それでも日々を生きていく。

ひとの弱さもずるさも優しさも、余さず掬う長編小説。

 

 

 

最近、彩瀬まる作品がお気に入りだ。

といってもまだ2冊しか読んでいないのだけどあはは・・・

 

タイトルがなんともインパクトがある。

蜘蛛を潰せない人・・・

 

人は、表向きには蜘蛛なんて潰せるよ!顔していても、

繊細でナイーブでズルくて弱くて寂しがり屋で、

そんなちょっとした蜘蛛を潰せない部分を持っていたり

するのではないだろうか?

 

放送中ドラマ「anone」が好きな人は、

この作品が好きだと思う。

「anone」に描かれている、

人間のズルさや弱さや、優しさがこの作品にも描かれているから。

 

気まぐれに人に親切にするのは楽しい。けど、それをねだられのが

当たり前になると、だんだん面倒くさくなってくる。・・・

かわいそう、優しくしなきゃ、とそれだけの心ではいられない。

(本文より)

 

「かわいそう」は面倒くさくもあり、「かわいそう」はすぐに忘れる。

 

「かわいそうで、それでも、どうすればいいの」(本文より)

 

物語の中で、主人公は自分なりの「かわいそう」の答えは見つける。

自分に悔いを残したくない。

 

わからない。

星のように散らばる無数の暗渠をこれからも繰り返して

見つめることになるだろう。(本文より)

 

「anone」の中で語られた名ゼリフ。

人は手に入ったものじゃなくて、

手に入らなかったもので出来ている。

 

そう、人は無数の「かわいそう」で出来ているのではないのか?

だから、人に優しくありたい。

 

 


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