恐竜が闊歩する時代には

まだ小さな存在だった哺乳類たちは

影に潜めて生きていた。

恐竜に隠れて、ひっそり生きる哺乳類

恐竜から逃れるかのように

夜にひそひそ活動すること多かったことだろう。

6500万年前を境に恐竜は姿を消し、哺乳類の時代を到来するも、

その生活ぶりは変わることなく、

今では哺乳類に夜行性の傾向がある動物は多い。

夜の動物があたりを見るとき、

色を感じるより、明暗で物を見ることが重要だ!

そのためか夜の活動が主だった哺乳類の目には

明暗を感じる桿状体(かんじょうたい)が発達し、

色彩を感じる錐状体(すいじょうたい)が少ないのである。


ということは哺乳類たちは白黒状態でものを見ているということになる。


(ちなみに私たち人間は哺乳類であるが、色を感じる

錐状体が発達した数少ない哺乳類で色をしっかり認識できる)


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パンダ、シマウマ、シャチ・・・。

哺乳動物には白黒ツートンのものが多い。

白黒ハッキリした体色でかなり強烈な印象を与え、

私たちの目から見れば目立ちすぎる存在。

弱肉強食の厳しい自然界のなかで目立ちすぎるというのは

あまりにも好ましくないことなのだが、

それは私たちのカラー映像で見ることのできる目だけのこと。

白黒映像として見ることのできない哺乳動物にとって

白黒の体色模様は意外にも風景に溶け込む

目立たない存在になると言う・・・。


それでは私の知る限りの白黒ツートンの動物たちを紹介。

サバンナシマウマ  学名(Equus burchelli

シマウマ

ここまで見事な白黒のシマ模様の動物は他にいないだろう。

太古には多くの種のウマの仲間がいたが、ウシ(偶蹄類)の仲間に

に押され、ほとんど絶滅してしまい現在、野生ではシマウマだけが

根強く生き残っている。


■なぜ、白黒のシマシマ模様なのか。■


シマウマの群れ

★シマウマは群れてかたまる習性がある。

 シマウマが群れることによって巨大なシマ模様に見え、

 肉食獣に狙う個体を特定させず幻惑させる。


★個体それぞれシマ模様が微妙に違い、

 仲間同士で個体の識別に役立てている。


★白い部分は熱を弾き、黒い部分は熱を吸収する。

 そのことから、体表に温度差が起こり、対流が発生する。

 これで灼熱のサバンナでの暑さを凌げるという説もある。


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ジャイアントパンダ  学名(Ailuropoda melanoleuca

ジャイアントパンダ

激烈有名&人気ですね。

白黒ツートン模様でなければ、

人間の手厚い保護は受けられないであろう動物で、

これからも人間と密接につきあうことだろう。

まさに白黒ツートンの影響力は凄まじい。


■なぜ白黒模様なのか■


★体の輪郭を分からなくするための「分断色」。


★繁殖以外は単独行動で仲間と接触を持ちたがらない動物。

 なので、遠くからでも自分の存在を他のパンダに知らせるため。


★目の周りの黒模様は目を大きく見せて他の動物に脅威を与える。

 また雪上でもいるのでプロ野球選手のデーゲームペインティング

 と同じく「反射光除け」。


★耳や手足が黒模様だが、これらの末端部位は体温が下がりやすいため

 太陽熱を吸収しやすい黒になった。


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マレーバク  学名(Tapirus indicus

マレーバク

胴体だけが白というあまりにも白黒をシンプルに

分けた模様が特徴。


■なぜ、白黒模様なのか■


★やはり体型の輪郭を分からなくするための「分断色」。


★昼間は目立つ体色模様だが、夜行性で密林にいるため、

 そこでは「保護色」(目立たない)の効果として発揮する。


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シャチ  学名(Orcinus orca

シャチ

現在の海での食物連鎖の頂点に立つ動物。


英名 Killer whale(殺し屋クジラ)

学名 Orcinus Orca(冥界よりの魔物)

海の殺し屋、海のギャング、様々な異名を持つ。


捕食する動物も多岐にわたり、

世界最大の陸棲肉食獣シロクマ

太古からの海の覇者であるサメをも食らいつく!


しかも頭も良く、氷の下からの奇襲。

仲間と協力して挟み撃ちなど高度な狩りをする。


■なぜ、白黒模様なのか■


★これもやはり体の輪郭を誤魔化すための「分断色」であり、

 攻守ともに役立てている。


★目とよく間違えそうな目の上にある白い模様(アイパッチという)

 は獲物の目に対し進行方向を混乱させる効果があるという。


★白黒のインパクトで小魚が驚き密集させたところで一気に食べる。


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イロワケイルカ  学名(Cephalorhynchus commersonii

イロワケイルカ

あまり知られていない白黒ツートン動物。

大きなシャチとは逆でもっとも小さなイルカだ。

同じ白黒ツートンということで水族館の客に

「シャチの子供だ」と言っている人もしばしば。


■なぜ、白黒模様なのか■


★体の輪郭をわからなくするための「分断色


★白黒のインパクトで小魚が驚き密集させたところで一気に食べる。


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(追記)

爬虫類や鳥類などと違い、

哺乳類は目は白黒映像ですが、ヒト、一部のサルの仲間以外

哺乳類すべてが白黒映像でものを見ているとは限りません。

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