もうすぐ、何もしなくても汗をかいてしまう
うっとおしい夏です。(まだちょっと早いか。)
汗で、服が体にへばりついて、なかなか脱げない
ときのイライラはかなりのものです。
そんなイライラさせる汗ですが、私たちの体の
体温調節をしてくれる大事な機能です。
しかし汗をすぐに引かせたいのなら、
冷たい缶ジュースなどに手首の脈打つ場所に
当てると汗は一気に引きます。
つまり、体じゅうを流れる血液を冷やせば、
体全体を冷やすことになり、
体の冷却するための発汗が必要なくなるという寸法だ!
なんでも、このようなやり方で
体を温めたり、冷やしたりする太古の竜がいるという・・・。
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スフェナコドン 属名(Sphenacodon )
およそ3億年くらい前、
当時としてはかなり大型の肉食動物で、
もちろん獲物は彼らより小さい動物だった。
しかし彼らより小さな体の獲物を捕らえるのは
困難を極めたという。
そのワケはスフェナコドンの巨体にあるという・・・。
スフェナコドンは爬虫類と同じく、
外気温で体温が左右される「変温動物」だ!
この時代はわれわれ人間のような
体温を一定に保つ「恒温動物」は存在しておらず、
獲物である動物も「変温動物」だ。
夜は気温が下がっており、変温動物である
スフェナコドンとその獲物は体温が下がり、
体を動かすことはできない。
朝がやってきた。気温はみるみる上昇!
そしてそれに合わせスフェナコドンとその獲物の
体温も上昇中。
しかし上昇の度合いが違うようだ。
小さな体である獲物の方が体温の上がりが早く、
すぐに体が動かせる体温にまで上げて逃げてしまった!
この違いは体の大きさによるもの。
これはコップのお湯は冷めやすいが、
湯船のお湯は冷めにくい理屈と同じで、
体が大きいものほど体温が変化しにくいのだ。
そのためスフェナコドンは夜に冷え切った体を
朝が訪れても、なかなか温まらず、
すぐに活動できないわけだ。
そこで現れたのが・・・!!
ディメトロドン 属名(Dimetrodon )
スフェナコドンと同じ盤竜類。そして体のサイズもほぼ同じだ。
違いといえば背中に「帆」があるかないかだ。
その帆こそが自らの体温を操るのに有効なツールなのだ!
やはり冷え込む夜ではディメトロドンもその獲物も
体を動かすことはできない。
気温が上がり始める朝、
ディメトロドンは帆にめいっぱい朝日を浴びている。
帆には血液の流れる血管が張り巡らされ、
それを暖める。そして体じゅうを走る暖められた血液・・・。
そのおかげで体温は急激に上がり、
獲物より先に動くことができるのだ!!
まだ動けない獲物を容易に捕らえ、
ブレイクファーストを楽しむディメトロドンである。
まさにこの時代、帆の効果は抜群であった。
そして、これが流行りかのように
背中に帆をもった動物がたくさん現れる。!
エダフォサウルス 属名(Edaphosaurus )
ディメトロドンと同じく盤竜類であるが、植物食。
帆の役目は体温調節の他、
帆に棘が生えており、個体によってその並びが違うので
仲間同士で個体の識別に役立てたといわれている。
プラティヒストリクス 属名(Platyhystrix )
この時代、両生類にも帆を持つものがいた。
やはり体温調節に使われた。
そして恐竜時代にも・・・。
白亜紀のアフリカなどには
背中の帆をもつ恐竜の姿が目立った!
スピノサウルス 学名(Spinosaurus aegyptiacus)
体は華奢であるが、全長18mを誇る
巨大肉食恐竜。高さ180cmもある帆は
やはり体温調節に使われた。
オウラノサウルス 学名(Ouranosaurus nigeriensis )
植物食恐竜カモノハシ竜にも背中に帆をもつものがいた。
スピノサウルスと同じ時代、同じ地域に生息。
当時は世界的に高温化と乾燥化が進み、
このような帆で体温調節する動物が目立ったとされている。