ジャン=クリストフ・グランジェ

『ミゼレーレ』(2008)で

 

J=C・グランジェ『ミゼレーレ』創元推理文庫

(創元推理文庫、2024.9.27)

 

元刑事リオネル・カスダンが赴く

アスンシオン福祉教育協会が開催する

少年聖歌隊のコンサートの

プログラムに載っていた4曲のうち

最後に演奏されたのは

オリヴィエ・メシアン作曲

《神の現存についての三つの小典礼》でした。

 

こちらも

あればCDで持ってたいと思い

Amazon で検索したりして

当たりをつけていたところ

ちょうど目をつけたばかりのCDを

お茶の水のディスクユニオンで

国内流通盤ではなく

直輸入盤で見つけてしまいました。

 

国内流通盤が

ありそうな感じでしたけど

ここでスルーすると

しばらく出くわさない

と思って購入。

 

それが今回ご紹介のCDです。

 

《神の現存についての三つの小典礼》チェコスロバキア盤

(チェコスロバキア Supraphon

 11 0404-2、1991)

 

演奏は

ボフミル・クリンスキ・ジュニア

(Bohumil Kulínský jr.)指揮

(ケース裏ジャケットには「jr.」はありませんけど

 ライナー小冊子には「jr.」と付いてました)

プラハ少年合唱団(Bambini di Praga)と

パヴェル・キューン女性合唱団

(Ženský sbor Pavla Kühna)および

プラハ交響楽団(Symfonický orchestr

 hl. města Prahy FOK)に

オンド・マルトノ独奏のジャンヌ・ロリオ

ピアノ独奏のイヴォンヌ・ロリオが

加わっています。

 

プラハ少年合唱団の合唱指導は

ブランカ・クリンスカ

(Blanka Kulínská)だと

ライナーおよびケース裏ジャケに

載っています。

 

録音は1987年12月5〜6日に

プラハのルドルフィヌム内にある

ドヴォルザーク・ホールで

行なわれました。

 

 

《神の現存についての3つの小典礼》

という楽曲については

こちらの記事が詳細を極めています。

 

 

本盤ももちろん取り上げられていて

「全体に非常に良質な演奏で」

「文句なしの満点」

と評価されていますから

購入を選択したのは

とりあえず正解だったようです。

 

上にリンクを貼った記事に

メシアン本人がミキシング・コンソールの前にいる写真が載っているので

とありますから

ライナー小冊子の表紙は

メシアン本人でしょう。

 

 

ちなみに

併録の《5つのルシャン(再歌)》は

Wikipedia によれば

無伴奏、12声部の混声合唱で

ライナーに記されている

キューン・チェンバー・ソロイスツ

(Kühnovi komorní sólisté

 / Kühn Chamber Soloists)が

混成合唱団かと思われます。

 

こちらの指揮は

パヴェル・キューン

(Pavel Kühn)で

検索してみると

同じ指揮者とユニットが

フィリップ・デ・モンテや

オルランド・ディ・ラッソを

録音したりしてますから

そもそもは古楽系のグループ

かと思われます。

 

 

それはともかく。

 

小説『ミゼレーレ』で

コンサートを聴きながら

物思いに耽っていたカスダンは

いつの間にか寝落ちしてしまい

コンサート終了後

教団所属の医師から

「第四ラウンド、KO。

 勝者、オリヴィエ・メシアン」

(平岡敦訳、下巻 p.218)

と話しかけられて目を覚まします。

 

カスダンは

「もしかしたら、ペルゴレージまでも

 持たなかったかもしれません」

(同 p.219)と応じていますが

メシアンの曲はかなり

激しく歌うところもあるので

まともに聴いていたら

眠れなかったと思います。

 

プログラムの最初

《トゥルネーのミサ》の

〈グロリア〉を聴いている内に

熟睡したのであれば

まだ分からくもありませんが。

 

 

オンド・マルトノという楽器は

ホラー映画の効果音のような

音を出す楽器ですけど

小説『ミゼレーレ』中に

書かれている通り

《スターバト・マーテル》や

《ラシーヌの雅歌》を

ピアノ伴奏で済ませる

コンサートだとしたら

とても使われたとは思えません。

 

ただ、オンド・マルトノ抜きでも

合唱がちゃんとしていれば

そこそこ聴かせる演奏になるか

とは思えました。

 

 

なによりも

今回のチェコスロバキア盤は

少年合唱団が加わっているところが

小説の『ミゼレーレ』の設定に近く

その意味でも今回の盤で聴けて

良かったと思っています。

 

思っていますが

別の演奏者のCDを

探して買ってみよう

とまで思うに至らず。

 

《トゥルネーのミサ》

ペルゴレージ、フォーレと来て

メシアンの今回の曲を聴かされた聴衆は

かなり驚かされたのではないか

と我がことのように

考えてしまうのでした。( ̄▽ ̄)

 

『ミゼレーレ』という

小説全体の趣向を鑑みれば

ある種の伏線かもしれない

と思えなくもないものの

それはやっぱり考えすぎ

というものでしょう。

 

 

YouTube には

チョン・ミュンフンのものが

アップされてますので

ご参考までに貼り付けておきます。

 

 

例によって

「動画を再生できません」

と出るので、アドレスも。

 

 

店頭で見つける前に

こちらの演奏を聴いて

これだけでいいか

と済まそうとしたのは

ここだけの話です。

 

そう思ってても

店頭で見ちゃったら

買わずにはいられないというのが

蒐集家の性というものなのでした。( ̄▽ ̄)