明日は雨の予報なので

タワーレコード・オンラインからの荷物を

本日中に引き取ろうと思い

セブン-イレブンまで行ってきました。

 

その途中で見かけたのが

こちらの奇妙な植物。

 

痩靫

 

ハナノナで調べてみると

「ヤセウツボ」と出ましたが

 

痩靫(ハナノナ)

 

帰宅して検索してみたところ

今回は一発で正解でした。

 

 

花弁の奥あたりが

紫色っぽい感じなので

日本在来種の

浜靫[ハマウツボ]かしらん

とも思ったんですけど

あちらは花全体が淡紫色ですし

ずいぶんと雰囲気が異なりますから

外来種の痩靫で間違いないでしょう。

 

痩靫(アップ1)

 

三河の植物観察

というサイトに載っている

花冠と苞を取った

側面写真から判断するに

紫色っぽく見えるのは

柱頭(雌蕊の先)のようです。

 

 

痩靫は(浜靫も)葉緑素を持たず

他の植物に寄生して

養分を摂取しているそうで

痩靫は主として白詰草や

赤詰草(紫詰草)に

寄生するそうですけど

その他の種にも

寄生できないわけではないらしく。

 

今回のもマメ科の植物に

寄生しているようには

見えませんが

自分が分かってないだけで

荒い鋸歯を持つ緑の葉はマメ科

あるいはキク科の植物

ということなのかもしれません。

 

 

Wikipedia によれば

明治期以降に輸入された

白詰草や紫詰草に紛れ込んで

渡来したのではないか

と考えられるらしく。

 

1937(昭和12)年になって

初めて確認され

名付けられたそうですが

なぜ「痩靫」と名付けられたのか

については書いてありません。

 

ニッセイ緑の財団の記事によれば

 

 

在来種の浜靫に似て

浜靫より茎が細いからだそうです。

 

靫[うつぼ]というのは

矢を入れて背負う

筒形の武具の名称で

花の形をそれに見立てたもので

「靫」という字は上記の通り

「靱」と表記されることもあります。

 

 

英名は

Common broomrape で

broom は金雀枝[エニシダ]

rape には「強奪、略奪」

という意味があり

金雀枝はマメ科ですから

マメ科の植物に寄生する

という性質を踏まえたものだと

想像できます。

 

common は

普通に見られる

というくらいの意味でしょうか。

 

 

前掲「三河の観察植物」

というサイトには

Clover broomrape

というのもあがっていますが

クローバーはもちろん

マメ科です。

 

その他にあがっている

Lesser broomrape

Small broomrape などは

lesser は little の比較級ですから

いずれも「小さい」という意味の

形容詞がついていることになりますが

何と比較して「小さい」

といっているのかは不詳です。

 

Hellroot(地獄の根)というのは

なかなか詩的な命名ですね。

 

 

学名は Orobanche minor Sm. で

属名の orobanche は

マメ科の一種である orobos と

「絞め殺す」という意味の

ギリシャ語 anchein を

組み合わせたものだそうです。

 

種小名の minor は「マイナー」で

英名の lesser や small は

こちらに由来するのかも。

 

Sm. は命名者の

イギリスの植物学者

ジョージ・エドワード・スミス

に由来します。

 

 

国立環境研究所の

侵入生物データベースによれば

外来生物法で要注意外来生物に

指定されているそうですけど

上でリンクを貼った

ニッセイ緑の財団の記事や

Wikipedia には

アルツハイマー病の抑制に効果がある

という研究結果が出ていることが

紹介されています。

 

研究の結果

実用化されていけば

かえって持て囃されることに

なるかもしれませんね。

 

痩靫(アップ2)

 

それにしても

アスファルトされた歩道の脇で

いきなり見つけるとは

思いもよらず。

 

寄生植物

という言葉自体には

ロマンを感じなくもないですけど

ちょっと不気味というか

今風にいうなら

キショい感じ。( ̄▽ ̄)