先週の水曜日
近所の大学図書館に行った帰り
通りかかったお宅のプランターが
目にとまりました。
ハナノナで調べてみると
「イベリス・アマラ
別名:エバーグリーンキャンディタフト
マガリバナ」
と出ましたけど
これは一発で正解のようです。
一発で正解ではありますが
念のためと思い
ネットで検索してみると
めんどくさいことになってるなあ
と、つくづく思った次第。
イベリアは
属名にあたりますが
スペインの昔の国名
イベリアに由来し
同地に多く自生することから
つけられたそうです。
アマラは品種名で
「苦味のある」
という意味になります。
アマラ種の他に
ウンベラータ種という
似た感じの花がありますが
今回のはアマラ種だと思います。
なお、上では
品種名と誤魔化しましたが
種小名かもしれません。
ただし種小名だとすると
あとにふれる
センペルビレンスとの関係で
めんどくさいことになるのでした。
ハナノナが別名としている
エバーグリーンキャンディタフトですが
エバーグリーンがつかず
キャンディタフト candytuft
だけで出ています。
お菓子のキャンディとは関係なく
ギリシャはクレタ島の首府
イラクリオンの旧名
キャンディアに由来する
とのことですが
なぜそちらに由来するのか
特に書かれていないような……。
「季節の花300」には
タフトが「羽毛などのふさ、束」
という意味であることをふまえ
「お菓子の束のように見えることから」
と説明されていますが
さて、どちらが正しいのでしょうか。
ハナノナが別名として示した
エバーグリーンキャンディタフトの
エバーグリーンは
これも「季節の花300」によれば
学名の種小名センペルビレンスが
「常緑の」という意味だそうなので
そちらを踏まえたものでしょうか。
アマナが種小名である
と書いているサイトもあり
ここらへんについても
さっと調べただけでは
判断がつきませんでした。
マガリバナという和名は
中国名の「屈曲花」に由来し
向日性があって
花茎が曲がりやすいことから
名付けられたそうです。
岩槻秀明『新 散歩の花図鑑』
(新星出版社、2023)では
花弁の外側の2枚が
内側より大きくなることから
「歪り花」と名付けられた
と説明されており
「常盤歪り花」という和名を
記載しています。
ちなみに同書では
キャンディタフトを
近縁種だと説明しています。
「四季の山野草」で
色屈曲花(色歪り花)
と呼ばれているのが
岩槻秀明の本でいうところの
キャンディタフトでしょうか。
ちなみに
「四季の山野草」では
コモン・キャンディタフト
という英名も載っています。
さらに気になることには
「四季の山野草」だと
「トキワ(常盤)の名がつくように
常緑低木の仲間」と書かれています。
念のため
英語版 Wikipedia を見てみたら
イベリス種には常緑樹の亜低木
evergreen subshrubs も
含まれるというような記述があり
イベリス・センペルビレンスの項目に飛ぶと
観賞用の庭の低木として使用される
などと書いてありますので
間違いではないんでしょうけど。
そんなこんなで
いろいろな説明が混在し
今回のは明らかに草花でしょうから
タイトルは「イベリス」だけでなく
「アマラ」と付けることにしました。
英語版 Wikipedia の
wild candytuft
rocket candytuft
bitter candytuft
といった別名が載っています。
このうち rocket は
「火矢、狼煙」という意味が
手元の辞書に載っていますので
そちらを踏まえたものでしょう。
和名には他に
常盤薺[トキワナズナ]
というのもあります。
「季節の花300」によれば
科が異なる同名花があるそうで
そうなるとブログのタイトルには
使いにくいですね。
名前だけでも
こんなに説明が混乱しているとは
思いもよりませんでした。
流通名(商品名・市場名)が
絡んでいるんでしょうし
取り上げたサイトよっては
資料を読み違えたりしたまま
それに気づかずに
書いてしまってるのではないか
と邪推しています。
岩槻秀明の本の場合
参照した文献に拠るんでしょうけど
ハンディさが売りの図鑑だけに
巻末に参考文献一覧はあるものの
各項目のスペースの関係もあって
そこでいちいち参照した資料を
示せるわけもないというのが
ネックになってるんですよね。
自分のような
新参者の素人からしてみると
もろもろ迷惑な話だと思いますが
そんなふうに思ったりするのは
自分くらいでしょうか。
自分は事大主義の傾向があるので
英語版 Wikipedia の記述を
信用することが多く
今回の落とし所もおおむね
英語版 Wikipedia に拠りました。
めんどくさいから
イベリス・アマラにしちゃえ
となったのは
そのためでもあり
そういう傾向[クセ]のある文章だと
思ってくださいますよう。m(_ _)m
花期は春から夏にかけてで
4月からとしているものが
多いようです。
外側から内側に向かって
咲いていくそうで
その証左であるかのように
花弁がひとつだけ
咲いているものがありました。
こうしてみると
なかなか個性的で可愛らしい
とか思っちゃいますね。
昨日の晩から急に冷え込み
花冷えとなりましたが
イベリア・アマラの方は
どうなってるかしら
とか思ったりするのも
こういう咲きかけのものを
見ているからでしょう。
次に通る機会があって
プランターが外に出てたら
確認しなきゃ
とか思うのでした。