本日、確定申告の書類を

税務署まで出してきました。

 

例年は出しに行くと

税理士が並んでいて

チェックして受領印を

押してくれてました。

 

去年から(だと思いますけど)

受領印がなくなり

今年は税理士が並ぶこともなく

その場でクリアケースに

自分で必要書類を入れ

設置してあるポストに投げ込む

というスタイルになってました。

 

アルバイトという腕章をつけた

ガイド? がいるだけで

なんとも心許なかったです。

 

人間が受け取ってくれることで

なんとはなしに

安心感を得ていたものでしたが……。

 

 

書類を出したその足で

近くにある新刊書店や

BOOK•OFFに立ち寄り

いろいろ買い込んできました。

 

毎回これが楽しみで

税務署まで出張っています。

 

立ち寄った新刊書店の

まんがコーナーではなく

コミック・エッセイの

コーナーでもなくて

文芸評論か何かのコーナーに

平積みになっていたのが

こちらの1冊。

 

こいしゆうか『くらべて、けみして』2

(新潮社、2025年2月20日発行)

 

副題は「校閲部の九重[くじゅう]さん」で

前に出たのが2023年の12月ですから

1年ちょっとぶりの続刊になります。

 

 

文芸書コーナーの

並びに置かれていなければ

出ていることに気づかず

買い逃すところでした。

 

 

オビに使われているのは

第12・13話のエピソードで

LGBTQをテーマにした小説について

社外校閲者からチェックが入り

それにどう対応するか

という話です。

 

作中では小説の書き手が

「表現の自由」だと言って

ごねてるわけではないので

「表現の自由か 差別への加担か」

というふうに二択で煽るのは

どうかと思います。

 

が、それはそれとして

なかなか興味深い

『小説新潮』の連載ならでは

のテーマだと思いました。

 

面白かったのは

シリアスな問題を提起した

社外校閲者が

そのシリアスなイメージから

かけ離れたような雰囲気の

女の子っぽい女性だったことで

これはこれで仕掛けてきてるな

という感じがしますね。

 

 

今回から新キャラとして

ファッション誌を出している出版社から

新頂社に入ってきた

叶 玲子という書籍編集者が登場します。

 

カバーの表紙に描かれている

髪の長い方の女性が

その叶玲子ではないかと思います。

 

最初は校閲と対立していた叶玲子ですが

念校にさらに大量の赤字が入り

印刷所に入れるまで

時間の余裕がないという状況下

翌日の昼までかけて

九重さんとチェックを入れる

という経験を通し

校閲の必要性を納得するという顚末を

前中後の3回にわたって描いています。

 

その前編の中で

次のような会話のやり取りが

ありました。

 

叶曰く

「今や 絵や小説なんかも

 AIが利用できる時代に…

 人間のミスを指摘するのが

 人間であっていいの!?」

 

同僚編集者応えて曰く

「あ〜 AI校閲ですか

 新聞みたいにルール通りの校正なら

 使い道はあるんでしょうけど

 本の校閲を任せられる

 レベルではないですよ」

 

校閲の仕事は

本作品を読む限り

単なる誤字チェックだけ

というわけではないですからね。

 

同僚編集者の言う通りだと思います。

 

 

ところで

本作品の校閲の方は

あまり良いとはいえず。

 

上記のやり取りで

叶玲子のセリフ(吹き出し)を

「今や絵や

 小説なんかもAIが

 利用できる時代に…」

と組んであって

これはさすがに

いかがなものかと。

 

(先の引用で

 半マス分の空白を入れたのは

 当方の判断です。

 「あ〜」の後に入れたのも同様)

 

「今では絵や」となってれば

まだしもだったと思いますけど。

 

 

あと

13ページと133ページで

「知れる」という

言葉遣いが出てくるのも

気になりました。

 

「辞書ってのは

 先人がどのように

 言葉を使ってきたかを

 知れることに

 意義があると

 思うんですよ」(p.13)

 

「インタビューで

 話を聞いたり

 SNSに校閲ネタを

 投稿したりすることで

 『新しいことを知れる』

 というのが

 モチベーションに

 つながってます」(p.133)

 

ら抜き言葉だから気になる

ということもありますけど

「知られる」と直せば済むかといえば

そういう感じでもないので

悩ましい。

 

13ページの場合

「知ることができることに」

あるいは

「知ることができる

 それに意義があると」

というふうにしてくれた方が

個人的には違和感なく読めます。

 

吹き出し内にも余裕があるので

上記のように直しても

行がずれたりしませんし。

 

133ページの場合

「新しいことを知ることができる」

かなあ、やっぱり。

 

ただ、これだと

吹き出し内に収まらないので

思い切って

「新しいことにふれる」

と、しちゃってもいいかも。

(勝手に思い切るなよw)

 

 

校閲をテーマとするまんがなので

差し出がましいかとは思いましたが

ついつい指摘したくなりまして。(^^ゞ

 

こういう楽しみ方もありだろうと

ご海容いただければ幸いです。

 

AI校閲はこういう場合

直すように指摘するかどうか

微妙だと思いますけど

うちのパソコンだと

「しれる」と打っても

一発で「知れる」とは

変換してくれませんので

案外、指摘してきたりなんかして。( ̄▽ ̄)

 

 

ちなみに

『小説新潮』での連載は

2025年1月号で終了し

翌月からWEBマガジンの

『yom yom』へと

移籍するそうです。

 

まあ、打ち切りでなくて何より。

 

むしろ

自分の方が

初版を買い逃さずに

済ませられるかどうか

それが心配なのでした。

(めんどくさいやつw)