古楽のハマった当時の自分は

パーセルに関心があったものか

棚から探し出してみたら

何枚かCDを見つけたんですけど

そのうちの1枚に

Purcell Collection のCDが

もう1枚ありました。

 

それがこちら。

 

15 Fantasias · Vocal Works

《Purcell: 15 Fantasias · Vocal Works》

(独Archiv: 447 156-2、1995)

 

リリース年は

Discogs に拠りました。

 

こちら

何で買ったのか

新譜で買ったのかどうかも

今となっては記憶の彼方です。(^^ゞ

 

 

録音は

《15のファンタジア》の方が

1954年4〜5月。

 

こちらは

バーゼル・スコラ・カントルムの

演奏ですけど

ディスカント(最高声部)ガンバの奏者として

アウグスト・ヴェンツィンガーが

加わっています。

 

これを買った当時の自分も

パーセルの器楽曲の方に

関心があったろうと思います。

 

ですけど

今、改めて聴くと

併録のサルタイア・シンガーズの方に

関心が向かいますね。

 

 

ヴェンツィンガーの演奏は

ヴェンツィンガーの指揮

というわけではなく

ヴェンツィンガーを中心に

ヴィオール奏者が集まって

演奏しているという感じなのですね。

 

一人の特権的な指揮者がいるのではなく

何人かの奏者で合わせる

というタイプの曲なので

ヴェンツィンガーが創設者とはいえ

その名前を前面に出すのはおかしくて

ヴァーゼル・スコラ・カントルムの演奏

と考えるべきだと思います。

 

 

まあ、それはそれとして

併録のサルタイア・シンガーズの

声楽曲集ですが

こちらの録音は

1955年6〜10月です。

 

本盤を購入した時は

ヴェンツィンガーの絡む

《15のファンタジア》の方に

関心が向いていたと思いますけど

今、改めて聴くと

サルタイア・シンガーズの演奏の方が

非常に印象に残ります。

 

《15のファンタジア》は

ニコラウス・アーノンクールの演奏とか

フレットワークの演奏などで

新世代の演奏が聴けなくもありませんが

(むしろこれらも古いかもしれないw)

歌曲に関してはそういうわけにも

いかないですからね。

 

 

サルタイア・シンガーズの原盤は

Henry Purcell: 2 Anthems, 5 Secular Songs

(Archiv: 14059、1955)

というLP盤のようで

そちらの収録内容は以下のとおり。

(これまた Discogs を参照しました)

 

Side A: 2つのアンセム

 主よ、われ汝に依り頼む Z.16

 主に向かって新しい歌を歌え Z.44 *今回の盤には未収録

Side B: 5つの世俗歌曲

 優しき音と美しい調べ Z.510 *今回の盤には未収録

 その日を支配するために作られたのは酒 Z.546

 おお、何という風景が目を楽しませてくれるのか Z.506

 にわとりが鳴き始める Z.D172 *疑作

 花咲けるこの野のいかに楽しきか Z.543

 

このうちから

アンセムの片方と

世俗歌曲の4曲を

収録したようですが

うーん、できれば

世俗歌曲は全部

収録してほしかったなあ。

 

 

アンセムの演奏は

今でいうOVPP

(One Voice per Part)で

これにはちょっと

驚かされました。

 

オリジナルには合唱が加わりますが

どうもソロ独唱を担当している

アルト、テノール、バスのみで

合唱も歌っていて

合唱のソプラノ・パートは

省略しているっぽい。

 

これにもびっくりです。

 

 

アンセムはふたつとも

器楽伴奏が加わる

ヴァース・アンセムなので

そちらの指揮者が

ジャケ表に書かれている

ハンス・オッペンハイム

ということになりましょうか。

 

器楽合奏団については

ジャケ裏を見ると

Saltire Singers · Instrumental Ensemble

(サルタイア・シンガーズ、器楽アンサンブル)

と書かれてあるだけで

何ともそっけない。

 

器楽奏者は全員

ゲスト奏者だからなのかとも

思ったんですけど

英語版 Wikipedia にある

Saltire Music Group の項目を読み

何となく腑に落ちました。

 

Wikipedia によれば

サルタイア・シンガーズは

サルタイア協会のために創設された

スコットランドの

音楽グループだそうです。

 

器楽アンサンブルも含めて

サルタイア・シンガーズというのか

器楽アンサンブルも含む場合は

サルタイア音楽グループというのか

Wikipedia の記事を読んでも

よく分かりませんけど。( ̄▽ ̄)


 

世俗歌曲の演奏は

一部、YouTube に

アップされていましたので

貼り付けておきます。

 

 

おそらく

本盤が出た当時

サルタイア・シンガーズの演奏は

添えもの扱いだったと思いますけど

今ではかえって

ヴェンツィンガーが絡む

ヴァーゼル・スコラ・カントルムより

貴重な録音ではないか

と思われます。

 

それだけに

原盤の全てが収録されていないのは

惜しまれるところです。

 

自分が知らないだけで

例えばサブスクなどであっても

復刻されているのかもしれませんが

とりあえず

惜しんでおくことにします。( ̄▽ ̄)