鈴木雅明率いる

バッハ・コレギウム・ジャパンの

バッハ・カンタータ全曲シリーズ

第30巻の国内流通盤を入手しました。

 

BCJカンタータ全曲シリーズ30

(キングインターナショナル

 KKGC-15、2007.3.28)

 

録音は2005年9月に

神戸松蔭女子学院大学の

チャペルで行なわれました。

 

キャップ(タスキないしオビ)裏や

ブックレット(ライナー)に

「ソロ・カンタータ1」

とありますけど

本盤ではソプラノ独唱用の曲として

BWV51、BWV1027の全曲と

BWV210からのアリアが1曲

収められています。

 

 

こちらは最初

Amazon で中古盤を

見つけたんですが

カートに入れて

ひと晩たったら

売り切れになってしまい。

 

Amazon の出品が

ディスクユニオンの

どこぞの店舗だったと

記憶していたこともあり

ディスクユニオンの通販サイトを

ダメ元で検索してみたら

幸い在庫があったので

即行で注文して無事入手

というドラマw があったのでした。

 

 

店舗引き取りにして

昨日、四谷からの帰りに受け取り

その晩さっそく聴いてみたところ

非常に良い演奏だったので

びっくりした次第です。

 

まず、ソプラノ独唱者

キャロリン・サンプソンの

これぞ「透き通った」としか

言いようのない声質が

押しつけがましいところもなく

実に素晴らしい。

 

録音が行われた

神戸松蔭女子学院大学の

チャペルの音響が

優れているのでしょうし

その響きの良さを見事に収めた

録音技術にも支えられている

と考えるべきだとしても

出色の歌い声だと思います。

 

 

ナチュラル・トランペットの

ヴィルトゥオーソ的演奏が求められる

BWV51の奏者は島田俊雄

もうちょっと華やかさが欲しい

と思わないでもありませんが

ソプラノ独唱を邪魔することなく

流麗な演奏を聴かせてくれます。

 

とにもかくにも

本盤を聞いて

たちまち

キャロリン・サンプソンの

虜になってしまいました。(^^ゞ

 

 

でも本盤を買ったのは

BWV51を聴きたいからではなくて

2005年に発見されるまで

知られていなかった曲の

全曲録音が収められているからです。

 

ソプラノ独唱と

リトルネロによるアリア

《神と共にすべての事に当り》

BWV1127 の録音はこれまでに

エリオット・ガーディナー指揮盤や

ドロテー・ミルズが歌った盤が

リリースされてますけど

いずれも全12曲中からの抜粋で

全12曲全てを歌っているのは

今回のサンプソンが初なのでした。

 

 

ガーディナー盤が世界初録音で

それは出た当時買ってますが

直輸入盤であり

歌詞対訳がついてません。

 

ガーディナー盤は

日本流通盤も出てたことを

最近知ったんですけど

そちらは持ってないので

歌詞対訳が

ついているのかどうかも

不詳です。

 

ミルズ盤は日本流通盤がなく

全曲録音かつ歌詞対訳付き

という二重の意味で

BCJ盤は貴重なのでした。

 

 

《神と共にすべての事に当り》は

ザクセン・ヴァイマル領主

ヴィルヘルム・エルンスト公の

誕生日を祝うために書かれた12連の詩で

各連に違った旋律がついているのではなく

基本的に同じ旋律になっています。

 

それで

ガーディナー盤もミルズ盤も

抄録にしたのだと思いますけど

それでも全曲聴いてみたい

と思うのがファンの

というか

マニアの性[さが]

というもの(笑)

 

これでようやく

ガーディナー盤やミルズ盤を

楽しむことができます。

 

 

本盤にはもう1曲

結婚カンタータとしても知られる

世俗カンタータの

《おお ほほえむ吉日、

願ってもない佳節》BWV210から

冒頭のレチタティーヴォに続く

最初のアリア

〈歌たちよ、魂のこもった調べを奏でて〉

をボーナストラックとして収めています。

 

自分はこの曲を

クリストファー・ホグウッド指揮

エンシェント室内管弦楽団が演奏する

エマ・カークビーが歌う盤で

初めて聴きました。

 

そのとき

カークビーが歌っているにしては

なんか妙な感じだなあ

これは難曲ではないかしらん

と思ったことを記憶してます。

 

それ以来

何人かの演奏を聴きましたが

基になったBWV210aの演奏以外

しっくりするものがあまりなくて

今回の盤がいちばん自然に聴けました。

 

キャロリン・サンプソンには

BWV210の全曲録音もあるようで

次はそれを入手するため

苦労しそうです。

 

 

ちなみに

ブックレットの

歌詞対訳を見ていたら

BWV51の訳は鈴木雅明で

他は、バッハ・ファンにはお馴染み

杉山好だと書いてあります。

 

鈴木があえて訳したのも

気になりましたが

2005年発見の曲を

杉山が訳しているのには

驚かされました。

 

検索してみたら

杉山好が亡くなったのは

2011年だそうで

間に合ってよかったと

つくづく思った次第です。

 

杉山好による

バッハ・カンタータ訳詩全集

なんてのを

どこかでまとめてくれないかなあ

とか思ってるもので。

 

ほんと、どこか

出してくれないかなあ。