エリー・アメリングが

コレギウム・アウレウム合奏団と組んで

録音したバッハのカンタータを

全て収めたセットがこちら。

 

アメリング《バッハ:コーヒー、農民、結婚カンタータ》

(BMGビクター BVCD-8807/08、1995.11.22)

 

〈コレギウム・アウレウムの芸術〉という

スリムケース1枚に2枚収めた

2 for 1 シリーズの第3弾です。

 

 

先日、アメリングのボックスセット

(EMI の ICON シリーズ)を買いに

新宿のディスクユニオンに行ったら

こちらもあったので

ちょっと迷って購入したんですが

買って正解でした。

 

EMI の ICON シリーズにも

BWV202と209が収められており

ダブルかなあと思ったんですが

EMI のボックスに入っていたのは

別の合奏団との演奏だったので

ダブらなかったからです。

 

ダブったのは前回ご案内

オーセンティック・ベスト50収録

BWV202と211の方ですが

今回の盤は中古で安く買ったので

2曲を1枚以下の値段で買った

と考えればまったく問題なし

というわけでして。

 

 

CD1には

カンタータ 第211番の

通称コーヒー・カンタータと

カンタータ 第212番

「われら新しき領主をいただく」

通称・農民カンタータが

収録されています。

 

録音はともに1968年で

原盤は同じレコードの

A面B面に収められ

ドイツ・レコード賞なるものを

受賞したそうです。

 

 

農民カンタータを聴くのは

実をいえば今回が2度目です。

 

最初に聴いたのは

エマ・カークビー盤ですが

1〜2回、聴いたのみで

ほとんど内容を

覚えていませんから

実質的に初めて聴くようなもの。

 

それが証拠には

第8曲目のソプラノのアリアで

スペインのフォリアの

旋律が出てくることを

すっかり失念しており

今回聴いて

びっくりさせられました。(^^;ゞ

 

 

CD2には

カンタータ 第202番の

通称・結婚カンタータと

カンタータ 第209番

「悲しみを知らぬ者」

通称イタリアン・カンタータ

(イタリア語カンタータ)が

収録されています。

 

録音年は

結婚カンタータが1964年で

イタリア語カンタータが1966年と

原盤が同じレコードの

A面とB面のはずですが

なぜか、かなり離れています。

 

こちらの原盤は

エディソン賞なるものを

受賞しているそうです。

 

 

コレギウム・アウレウム合奏団は

基本的にコンサート・マスターが

弾き振りするという体制ですけど

BWV202 に限って

ラインハルト・ペータース

という人が指揮者だったようですね。

 

BWV209 の方のチェンバロは

なんと、グスタフ・レオンハルトでして

ソロ・フルートがハンス=マルティン・リンデ

通奏低音とレチタティーヴォの

ヴィオラ・ダ・ガンバが

ヨハネス・コッホという面々。

 

薹のたった古楽ファンには懐かしい

テレフンケン(現テルデック)の

ダス・アルテ・ヴェルク・シリーズで

レオンハルトと共演した奏者たちが

集まっているというわけです。

 

 

BWV209 は現在

古楽演奏での録音が少なく

それというのも

偽作の疑いが

あるからではないか

と思われます。

 

冒頭のシンフォニアが

フルート協奏曲のような味わいがあり

2曲あるアリアもすべて

フルートがオブリガートで

参加しています。

 

それもあって

かつてはフルート奏者の

重要なレパートリーに

なっていたのではないか

という感じがするんですけど。

 

曲調も

イタリア様式の影響が強い

とされており

偽作だからといって

演奏されないのが惜しい佳曲

という印象を受けるだけに

録音されなくなっているのだとしたら

残念としかいいようがありません。

 

 

イタリア様式の影響といえば

コーヒー・カンタータなども

ペルゴレージのインテルメッツォ

《奥様になった女中》を

思わせるようなところがあり

バッハはどこかで聴いたのか

と思うくらいでした。

 

もっとも

《奥様になった女中》風の

若い女性が薹の立った男性を翻弄する

というモチーフの喜歌劇は

テレマンも作曲しています。

 

ですから

ペルゴレージを聴いたとは

必ずしもいえないわけですが

それはそれとして

むしろ自分がペルゴレージを

聴き馴染んだ今だからこそ

楽しめるのかなあと

感慨深いものを感じてしまいました。

 

その意味では

前回ご案内の盤にしても

今回ご案内の盤にしても

自分にとっては、まさに今こそ

聴きごろになったのかもしれません。

 

 

以下のブログに

 

 

BWV202と209を

カップリングにした

廉価版LPのジャケ写が

載っています。

 

そのタスキ(オビ)には

「アメリングの声が

 最も美しかった絶頂期の名唱」

という惹句が載っていたことを

確認できますが

確かにアメリングの声は美しい。

 

美しいだけでなく

コーヒー・カンタータでは

潑剌としていて

コーヒー好きの娘

リースヘンの可愛らしさを

印象づける好演です。

 

 

いまではアメリングはもとより

コレギウム・アウレウム合奏団も

推奨盤としてあげられることは

あまりありませんけど

今回のディスク、

旧録音として忘れ去られていくのが

惜しいと思わしむる演奏です。

 

自分もかつては

器楽曲中心に聴いていたので

魅力に気づくのが遅れましたが

それでも

オーセンティック・ベスト50盤を

買っておいたこと自体は

褒めてやりたい

とか思ったりするのでした。

 

 

以下は蛇足ですが

タスキ(オビ)の裏を見ると

 

キャップ表の写真は、コレギウム・アウレウム合奏団が録音に使用しているフッガー城「糸杉の間」(キルヒハイム)。黄金分割(1:1.618)のプロポーションによって作られており、コレギウム・アウレウム(黄金楽団)という名称の由来となった。

 

と書かれています。

 

「キャップ表の写真」というのは

こちら↓

 

CD《コレギウム・アウレウムの芸術》キャップ(部分)

 

これによって鑑みるに

いわゆるタスキ(オビ)と

呼ばれているものは

この当時、ないし

BMGビクター社内において

「キャップ」

と称されていたみたいですね。

 

これには

今さらのように

驚かされました。

 

これからは

キャップと書くべきかどうか

悩みどころですが

定着しなかったからなあ……。