先日

タワーレコード・オンラインで

購入し(てしまっ)た

こちらのディスク。

 

Jacob Handl《Motets》

(仏 Le Palais des Dégustateurs

 PDD-010、2020.1.21)

 

レーベル名は

「鑑定家[テイスター]の宮殿」

という意味になります。

 

演奏は

ルシアン・カンデル指揮

アンサンブル・ムジカ・ノヴァで

録音は2015年11月23〜26日。

 

リリース年月日は

タワーレコード・オンラインに

拠りましたが

本国でのリリースというか

マルCとマルPを見ると

2016年となっています。

 

 

こちらのディスク

サイトの商品ページでは

「ヘンデル:モテット集」

と表示されるのみならず

「作品の情報」欄を見ると

「作曲:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル」

と堂々と表示されています。

 

でも、これは

いわゆるヘンデルの

楽曲ではないんですね。

 

ジャケ写をよく見ると

「J. Handl」とありますから

いわゆるヘンデルではないのは

明らか。

 

最初にヒットした時は

そこに気づき

買い控えたんですけど

こないだは慌てていたのか

つい注文してしまい

届いたのを見て

しくじったと思ったという……。

 

 

J. Handl のフルネームは

ヤーコプ・ハンドル

Jacob Handl(1550〜1591)で

スロベニア出身の

後期ルネサンス作曲家だとか。

 

ラテン語形の氏名

Jacobus Gallus に

出身地に由来する

Carniolus を付けて

ヤコブス・ガルッス・カルニオルス

と自称していたようですが

このラテン語名を活かし

ヤコブス・ハンドル=ガルッス

とか表記されることもあるようで。

 

 

ところで

タワーレコード・オンラインには

ヤーコプ・ハンドル(ヤコブス・ガルス)

というアーティス・ページも

存在します。

 

ただし

そちらのディスコグラフィを

すべて見てみても

本盤はアップされていません。

 

これをもってしても

音楽業界のいい加減さを

よく示しているのではないか

と思わずにはいられませんが

それはともかく。

 

 

上記の名前に関することは

Wikipedia の項目で知りました。

 

日本語版 Wikipedia に

こんなマイナーな作曲家の

項目があるとは

思いもよらず。

 

その項目を読み進めたところ

いわゆるヘンデルと

まったく無関係ではなく

ヘンデルが自分の曲に

ハンドルの曲を

転用しているようです。

 

ヘンデルの頃には

それくらい知られていた

ということですね。

 

ヘンデルが

俺の名前と似ている

と思ったかどうか

知りませんけど。( ̄▽ ̄)

 

 

でも本盤には

ヘンデルが転用した原曲が

収録されておらず。

 

その他

Wikipedia で言及されている曲は

ことごとく収録されておらず。

 

それはそれで

珍しい曲が多いと

喜ぶべきなのかどうか。

 

 

なお本盤収録の楽曲に

「OM I, 7」とか「OM III, 29」とか

整理番号らしきものが

ついてますけど

これは4巻からなるモテット集

Opus musicum の略号だと

Wikipedia の記述を読んで

気づきました。

 

「OM I, 7」というのは

Opus musicum 第1巻の7曲目

という意味でしょうね。

 

そう気づいてから

ライナーを見直すと

第1巻から7曲(1、7、10、22、23、29、82)

第2巻から9曲(2〜4、12、30、37、39、40、55)

第3巻から1曲(29)

収録されていることが

分かりました。

 

曲名は

ラテン語の

聖書か何かの決まり文句でしょうけど

ちょっと調べる根性はありません。

 

いずれも

4声、6声、8声の

多声部アカペラ合唱曲で

1パート1〜2人か

と思われます。

 

日本語版Wikipediaの

ハンドルの項目に書かれていた

ヴェネツィア学派の

分割合唱様式に見られる

エコーやステレオ効果を

狙ったと思しい楽曲も

聴かれました。

 

 

ルシアン・カンデル指揮

アンサンブル・ムジカ・ノヴァ

2000年に結成された

フランスのアンサンブルです。

 

カンデルは指揮だけでなく

カウンターテナー奏者としても

参加しているようですね。

 

今回の演奏は

ソプラノとメゾ・ソプラノの2人によって

cantus(定旋律?)を担当され

2人のカウンターテナーと

2人のテノール、2人のバスが

それに副旋律(?)を付けて歌う

というスタイルのようです。

 

曲によっては

ゲスト・アーティストとして

カウンターテナーとテノール奏者が

1人ずつ加わっているようですけど

どの曲がそうなのか

見当がつきません。

 

最小で4人の声

最大で10人の声が

一糸乱れぬという感じで

旋律を紡いでいく様は

これぞルネサンス・ポリフォニーの精華

という感じがされて

実に見事です。

 

 

ルネサンスの

多声部宗教合唱曲を

がっつり聴くのは久しぶりで

心洗われる気がしたというか

17曲連続で聴いても

いっこうに疲れを感じません。

 

それも

器楽伴奏のない

宗教曲だからでしょうか。

 

ヴィヴァルディや

ヘンデルのアリア集の場合

途中で器楽のみの曲が入らず

ひたすらアリアが続くと

疲れてしまうのですね。

(自分だけかしらん)

 

そういうことに

気づかせてくれただけでも

買って聴いた価値はあった

といえるかもしれません。

 

負け惜しみかな? ( ̄▽ ̄)