(ポリドール POCL-2508、1991.8.25)
原盤レーベルは
オワゾリールですが
ライセンスはデッカで
1981年にリリースされました。
録音は1980年の9月と12月で
クリストファー・ホグウッド指揮
エンシェント室内管弦楽団の
デビュー盤になるようです。
古楽演奏による
パッヘルベルのカノンを
メイン・タイトルに据えた
バロック名曲集ですが
それを聴きたくて
買ったわけではなく。
少し前に
翻訳小説のゲラを
チェックしていたところ
作中人物がヘンデルの歌劇
《ベレニーチェ》のメヌエットを
口笛で吹くという場面が出てきて
ちょっと興味を引かれて調べたら
本盤が出ていることを知ったのでした。
ネットで調べても
適当な盤がなく
(要はタスキ[オビ]付きで
比較的廉価なものw)
そのうちにと思っていたところ
過日、四谷での採点の帰り
新宿のディスクユニオンに寄ったら
見つけて即行で買った次第です。
本盤には
1737年初演の歌劇
《エジプトの女王ベレニーチェ》から
序曲とメヌエット、ジーグが
演奏されています。
序曲自体が3楽章構成になっていて
メヌエットというのは
その第2楽章の通称にあたり
原曲はアンダンテ・ラルゲット
というだけのようです。
ということは
ライナーには書いてなくて
以前にもご案内した
書いてあったことですけど。
ヘンデルでは他に
オラトリオ《ソロモン》から
シンフォニア
通称〈シバの女王の入城〉と
《水上の音楽》から
エアとホーンパイプの2曲が
収められています。
他はヴィヴァルディの
4つのヴァイオリンと
チェロのための協奏曲 ロ短調
2つのトランペットのための協奏曲
ハ長調が収録されており
前者はバッハが
4台のチェンバロのための協奏曲に
編曲したものの原曲ですね。
パッヘルベルのカノンを含め
以上はいずれも
バロック音楽の範疇ですが
他にグルックの歌劇
《オルフェオとエウリディーチェ》から
〈3人の復讐の女神の踊り〉と
〈精霊の踊り〉を収録しています。
グルックって
古典派だと思っていましたが
バロックのアンソロジーに
入れちゃうのか。
まあ、本盤のコンセプトは
ポップス的に編曲されて
受容・消費されている
いわゆる通俗クラシックの名曲を
曲本来のオーセンティックな姿で
聴いてもらおうというもの
だと思われるため
グルックも入っちゃうんでしょうね。
となると
ゲラで読んだ翻訳小説に出てくる
ヘンデルのメヌエットも
ポップス的に編曲されたものを
踏まえているということに
なるわけでしょうか。
これを口笛で吹くのかあ
とか思っちゃうのも
オーセンティックな演奏で
聴いちゃったからかも(苦笑)
翻訳小説の初出は
1950年なので
その頃にされていた
演奏で聴かないと
ダメなんだろうなあ。
とか思いつつも
歌劇《ベレニーチェ》の
全曲録音を入手するのは
難しそうですから
とりあえずはこれで
満足せねばなりますまい。
いや、まあ
全曲盤を入手しても
最近の古楽演奏版では
所期の目的を
果たせないわけですけどね。
難儀なものだなあ。