『ケータイに便利な楽器詳解図鑑』

(シンコーミュージック・エンタテイメント

 2015年3月26日発行)

 

冬季講習の最終日の帰り

久しぶりに立ち寄った

地元のBOOK•OFFで

見つけた本です。

 

奥付を見ると

企画・編集・製作が

久松義恭、岡田理行、黒田篤志の

3者連名となっており

このうち久松と岡田は

Craftone[クラフトーン]という

編集プロダクションのメンバー。

 

序文にあたる「はじめに」は

久松義恭が執筆しています。

 

他に編集協力として

7人の名前が載っており

そのうちの2人が

Craftone のメンバー。

 

というわけで

本文のイラストや文章を

Craftone のメンバーと

外部協力者との総勢10人で

担当したものと思われます。

 

 

鍵盤楽器、弦楽器、

管楽器、打楽器、

民族楽器、電子楽器の6章立て。

 

各章の前に

その章で扱う楽器について

概略を解説。

 

各楽器の項に入ると

英語表記、主要各国語表記の他

略記も併記されています。

 

写真は掲載されておらず

楽器はイラストの図解のみ。

 

モノクロ写真が載っているより

その方が分かりやすいですね。

 

類似楽器やファミリー楽器も紹介され

各楽器の解説には

こういう音楽で使用された

という言及があり

それがクラシックにとどまらないので

すごく物知りになれた気になります。

 

楽器によっては

当該楽器の解説だけでなくて

構造や歴史を説明するコラムがあり

単に図鑑として役立つだけでなく

読み物としても充実した内容でした。

 

 

番外編として

「ヒト」という項目が

打楽器の章の巻末にあります。

 

クラップやタップなど

身体を使って打ったり

叩いたりすることで発音するから

打楽器の章の最後なんでしょう。

 

ただ、それ以外にも

口笛やスキャットなどの

発声に基づくものを取り上げており

ソプラノ、アルト、テノール、バス

といった各声部にまで言及しているのは

感心させられると共に

ありがたいですね。

 

打楽器の章では

パーカッション関連が

細かく紹介されており

当ブログでライブのレポートを書く際

この本があると

どれだけ助かったことか

と思うことしきりでした。

 

 

Amazon のコメントにある通り

ビルマの竪琴は載ってないにせよ

民族楽器の紹介は充実している

といっていいかと思います。

 

電子楽器の章では

ボーカロイドにまで

言及されています。

 

 

「これって楽器?」という

付録の項目では

大砲やタイプライターなどを紹介し

どこで(どういう楽曲)で

使われているのか

が書かれています。

 

そういう解説を読むと

その曲の録音が欲しくなるのが

困りものといえば困りもの。

 

まあ、それは

各楽器の項目すべてに

いえることですけど。( ̄▽ ̄)

 

 

巻末の索引には

日本語のほか

洋語もあるのが便利。

 

索引を眺めていると

190ページほどの本文で

こんなに取り上げているのか

と改めて驚かされます。

 

 

あとは実際の音が聴ければ

というところですが

それはそれこそ

ネットで検索すると

簡単に確認できそうです。

 

そもそもの

楽器の名前を知らなければ

検索すらままならないわけで

その意味でも

大変ありがたい1冊

といえるでしょう。

 

 

シンコーミュージックの

サイトを見てみると

まだ販売されているようで

 

 

ロングセラーも納得の充実ぶり。

 

ピンポイントで

この楽器が載っていない

というのは

簡単なことですが

本全体として評価するなら

まず繙いてみる1冊として

そして読んで楽しめる1冊としても

充分かつ納得の完成度

だと思う次第です。

 

 

ちなみに

ビルマの竪琴については

ネットで調べれば一発で分かりますが

柴田南雄の『楽器への招待』(1983)を

ご覧いただいても良いかと。

 

あちらも

コンパクトながら

充実した内容で

楽しめる1冊だったことが

思い出されるのでした。