『いとエモし。』

(サンクチュアリ出版、2023.2.20)

 

副題「超訳 日本の美しい文学」

 

四谷のオフィスに行く時は

新宿でJR総武線に

乗り換えるんですけど

先日、以下の車両広告が

目にとまりました。

 

『いとエモし。』車内広告

 

これは面白そうだ

と思ったんですが

「続々重版」とか謳ってるし

そのうち初版を見つけたら読んでみよう

とか思って地元の本屋に寄ったら

平積みされていたので

手に取って奥付を見てみると

なんとまあ、初版だったという。

 

その場で買っちゃいました。

 

だって広告を見たその日に

店頭で目にしちゃったらねえ。

 

しかも

広告では「続々重版」と

謳われているのに

初版本だったとなれば

買わずにいられましょか

てなもんです。

 

 

それが

今月の17日のことで

それから

四谷のオフィスへの

行き帰りに目を通して

本日、読み終わった次第です。

 

書名の「いとエモし。」は

『枕草子』でお馴染みの

「いとをかし」の超訳になります。

 

序文では「まじエモい」と

さらなる超訳が載ってますけど

「まじエモい。」じゃあ

古典の超訳のタイトルとしては

据わりが悪いでしょうからね。

 

 

こういうタイプの現代語訳としては

橋本治の桃尻語訳が

昭和の読書人にはお馴染み。

 

『桃尻語訳枕草子(上)』

(河出書房新社、上巻、1987.9.10)

 

あちらが

男性作者が女性言葉で完訳する

という紀貫之みたいなことを

しているのに対し

『いとエモし。』は

今どきの女性が自分の言葉で

語り直した超訳だけに

割と正当的なのかも。

 

まあ、今回の本では

女性作者だけでなく

男性歌人の歌や

男性作者の随筆なんかも

訳してますけどね。

 

その場合は

「俺」という一人称も

使われたりしています。

 

完訳ではなくて

あくまでも雰囲気を伝える

超訳なので

受験勉強には使えませんけど

意外とマイナーな歌も

採られているだけに

いろいろと発見があったり

付いている短い解説を読むと

教えられたりしたことも多く

楽しく読み通せましたし

ためにもなりました。

 

(そういえば

 一休宗純『狂雲集』に基づく

 六章・89「魚の骨のきみたちへ」

 の解説中に「心念」とありますけど

 これはやっぱり「信念」の

 誤植でしょうかね。

 それとも、あえて?)

 

イラストは

ライトノベルの表紙とかに

使われていそうな

いかにもなイラストが多く

これまた素直に楽しめました。

 

 

個人的には

『枕草子』286段の

中宮定子と清少納言の間で

やり取りされた歌を取り上げた

三章・33「オシあう2人」が

印象に残ってたりします。

 

『宇治拾遺物語』に基づく

二章・48「小野篁が天才すぎた件」も

「おお、あの有名な暗号の出典は

ここであったか」と教えられ

お気に入りだったりします。

 

嵯峨天皇と小野篁のやりとりを

現代風に面白くリライトしていて

ラノベを読んでるみたいなのも

いとエモし(笑)

 

『義経記』第5〜6巻に基づく

三章・42「静御前ファンクラブ通信」も

なかなかエモい。

 

だいたい自分の場合

エッセイや物語に基づくものに

惹かれる傾向があるようで。

 

 

通勤通学の電車の中で読むよりも

ふと思い立った時に

好きなページを開いて味わう

というのが

おススメの読み方でしょう。

 

読んでいるうちに

「静御前ファンクラブ通信」のように

原文を確認したくなってきて

買ってなかったかと

書棚を漁り始め

持ってなければ欲しくなる。

 

そうやってまた

買う本が増えるわけですね。

 

うん、分かります。( ̄▽ ̄)

 

 

 

●訂正(翌日12:40ごろの)

 

発行年月日が

「2023.2.30」と

なっていたので

「2023.2.20」に

修正しました。

 

2月30日なんて日、

ないじゃん!