先に天鵞絨毛蕊花を取り上げた際

花の名を打ち込んでみてから

「天鵞絨」と漢字で書いて

「ビロード」と読むことを

初めて知ったのはいつだろうと

つらつら考えていたところ

新潮文庫の『ポオ詩集』ではないか

と思い至りました。

 

『ポー詩集』新潮文庫版

(新潮文庫、1956.11.20/

 1975.6.10 第23刷)

 

「ポー詩集」

という表記はカバーのみで

本体と本文扉、奥付けでは

「ポオ詩集」となっています。

 

本文は仮名遣いこそ

現代仮名遣いではありますが

漢字は正字(旧漢字)を使用。

 

訳者あとがきの日付は

1948(昭和23)年12月

となっていますから

その頃に上梓した訳本が

文庫化されたものではないか

と思って検索したんですけど

該当書はヒットしませんでした。

 

 

これを買ったのは

発行年月から判断するに

中学生の頃だと思います。

 

おそらく

ポーの「大鴉」を読もうと思い

購ったのだと思いますが

中学生が最初に接する訳本として

適切なものであったかどうか

やや疑問なしとしません。

 

今回久しぶりに繙いてみたら

いくつかの漢字に鉛筆で

振り仮名が付されておりました。

 

還暦を過ぎた眼から見ると

中学生の自分が

小学校を卒業したての頃とはいえ

この程度の漢字も読めなかったのか

と忸怩たるものを覚えますし

いくつかの振り仮名は

間違っていたりするのも

恥ずかしい。

 

そのような

鉛筆で付け足した

振り仮名のひとつが「天鵞絨」で

しばらくは「てんがじゅう」と

読んでいた気もします。

 

 

訳者は阿部保という人で

中学生の頃はどういう人なのか

気にしてませんでしたが

今回、気になって調べてみたら

Wikipedia にも項目があるくらいには

知られている詩人だと知りました。

 

カバー絵は崎原操という人で

この人については検索しても

ヒットしませんでした。

 

 

総ページ数は100ページほどで

収録されているのは詩が18編と

「詩の眞の目的」という詩論1編。

 

ポーの詩の他に

阿部保が1935(昭和10)年に発表した

「詩人エドガア・アラン・ポオ」

という詩を併録している

不思議な1冊です。

 

 

ちなみに

鉛筆の振り仮名は「大鴉」と

それに続いて収められている

「夢の夢」に付されているだけなので

おそらくそこで読み進めるのを

やめたのではないか

と思われます。

 

還暦過ぎて

読書力も読解力も

伸びているはずですから

今なら最後まで

読み通せるでしょうか。

 

もっとも

だからといって

楽しめるかどうかは

また別の話。

 

自分、詩を読むのは

大の苦手なのでした。

 

 

ところで

バス停そばの天鵞絨毛蕊花ですが

先日通りかかって見ると

穂先が二股に分かれていたというか

メインの穂の下の方から

もうひとつ穂が伸びてました。

 

天鵞絨毛蕊花(2023.6.4)

 

分かれている部分を

アップで撮ったのが、こちら↓

 

天鵞絨毛蕊花(2023.6.4)部分

 

かぎけんWEB の花図鑑の写真でも

穂が分枝してますから

特に変わったことでも

ないんでしょうけど

上記の花図鑑のように

分かれた穂も伸びていくのかどうか

ちょっと楽しみになってきました。

 

そうなる前に

駆除されないことを

願うばかりです。