少し前に当ブログで
ご案内しました。
その際
表題曲の『夜の天使』は
ティッシュ・イノホーサの
カバーだと書きましたが
原曲のタイトルを
記さないままでした。
その時はまだ
確認できていなかったからですけど
ようやくCDを入手できたので
そのご報告です。
原曲は
ティシュ・イノホーサのアルバム
『ホームランド』に収録されている
「ドンデ・ヴォイ(私は何処へ)」。
(ポニーキャニオン PCCY-10017、1989.10.21)
Donde Voy はスペイン語で
(Where I Go ) と英題が
カッコ付きで添えられており
従って邦題にも
「(私は何処へ)」と
付いているわけでしょう。
イノホーサ自身の作詞・作曲で
先の記事でも紹介した通り
阿刀田高原作の2時間ドラマ
『Vの悲劇』(1990)の
挿入歌として使われたものです。
ちなみに
ポニーキャニオン盤だと
Tish は「ティシュ」という表記ですが
のちにワーナーミュージック・ジャパンから
アルバム『運命の扉』(1994)が出た際は
「ティッシュ」となっています。
原曲は
〈メキシコ移民者の苦闘と勝利を唄う〉
という括りで冒頭に収められている
〈ボーダー・トリロジー〉の3曲目で
国境を密入国して
恋人と離れ離れになった
女性の心情を歌っている曲です。
鷲尾いさ子のカバーでは
恋人との別れを予感している
女性の心情が歌われていますから
訳詞ではなく塡詞ですね。
日本語詞を書いたのは
アイドル歌謡でもお馴染みの
三浦徳子[よしこ]です。
イノホーサのアルバムは
全体を通して聴くと
カントリー&ウエスタン調の曲が
多い感じがします。
「ドンデ・ヴォイ」はむしろ
異色のような気がしますけど
スペイン語で歌われていることもあり
両親がメキシコ移民で
その子ども
いわゆるチカーノだという
彼女の出自がよく出ている
ということになりましょうか。
イノホーサの
ハリのある声に対して
鷲尾いさ子の声は
消え入りそうな感じです。
それがむしろ
女性の心情をよく表している
といってしまうと
ステロタイプな女性観に
囚われている、なんて
非難されそうですけど。(^^ゞ
イノホーサのアルバムの
邦盤が出た背景は
よく分からないんですけど
まあ契約上、あるいは商売上
という理由だったと
想像されはします。
2時間ドラマの挿入歌に
使用されたのですから
それなりに成功だったと
いえるかもしれません。
その一方で
鷲尾いさ子がなぜ
「ドンデ・ヴォイ」を
カバーしたのか
謎です。
もっとも
カバーしようという判断は
プロデューサーが
下したのかもしれませんけど。
「ドンデ・ヴォイ」の曲調と
鷲尾を売り出していく際に
作り上げようとしたイメージとが
ぴったりだった
ということなんでしょうかね。