この13日に亡くなった
テレサ・ベルガンサは
基本的にオペラ歌手として
知られているんだと思いますが
ソロで歌った歌曲のCDも
出しています。
実はバロック歌曲も録音していて
少し前にそのCDを
中古で購入しているので
(池袋のディスクユニオンだったかしらん)
この機会に取り上げておきます。
(K33Y 10040、1986.5.21)
原盤レーベルは
スイスのクラーヴェス Claves で
1982年2月の録音。
CDケース裏ジャケには
[X~87・5・20 H・5・21]
と表示されていて
これだと何年のリリースか
分からないと思っていたんですが
Kenny's Music & Cinema & Books
というブログの記事を読んで
確定できました。
ディスコグラフィ好きには
大変役立つ情報なので
リンク張っときます。
それはともかく、本盤は
『ヴェネツィアの音楽 第6集
――初期バロックの歌と器楽
ベルガンサ、イタリア・バロックを歌う』
(ポリドール 24ML 0030、1982?)
というLPのCD盤になります。
タスキは
いわゆる「貼り付けオビ」
というやつで
昔のCDを買うと
よく見かけるタイプです。
そのタスキの副題に
「初期バロックの
声楽と器楽のための音楽」
とある通りの内容ですが
モンテヴェルディや
バルバラ・ストロッツィ
パレストリーナ以外は
知らない名前ばかり。
(しかもパレストリーナの楽曲は
原曲の収録ではなく
オリジナルの声楽曲を
パレストリーナより少し後
1600年代初期の作曲家が
器楽曲に編曲したものです)
少し前の
声楽曲にあまり
興味がない自分なら
スルーしてたかも知れません。
それでも
ベルガンサの名前が
(先の記事に書いた経緯で)
かすかに記憶があったのと
日本人リュート奏者の
今村泰典が参加しているため
買ってみようかと思った次第です。
バロック時代の
数少ない女性作曲家の一人
バルバラ・ストロッツィの曲が
2曲入っているのも
ポイント高し。
といっても
買った時に意識していたのではなく
買ってからずっと後に
ストロッツィのことを
知ったんですけど。(^^ゞ
ライナーによれば
モンテヴェルディの宗教曲を除き
全て世俗楽曲であるのに加え
当時の出版譜しかなく
(当時、現代の校訂譜があったのは
モンテヴェルディのみだそうです)
ボローニャ市立図書館所蔵の
1600年代当時の出版譜が
演奏に使用されているのだとか。
ベルガンサという人は
全ては楽譜にあり
という考え方を
する人のようです。
石戸谷結子の『マエストロに乾杯』
(光文社・知恵の森文庫、2004.7.15)
という本に載っている
インタビューを読むと
楽譜に忠実に従うことをモットーに
クラウディオ・アバド指揮の
『カルメン』に臨み
新鮮なカルメン像を打ち立てて
話題になったとのこと。
したがって
古楽専門ではないにしても
楽譜に忠実に
そして歌詞を読み込んで
演奏に臨んだと思われますから
それなりに説得力はある
と考えてもいいのでしょう。
「いいのでしょう」と書いたのは
モンテヴェルディ以外
比較できる古楽演奏の録音が
ほとんどありませんので
専門的な耳を持たない自分の印象に
今ひとつ自信が持てないからです。
ただ、あえていえば
悪くはありませんけど
もう少しケレン味があっても
いいかなあと思いました。
これからベルガンサを
聴こうという人がいたなら
『スターバト・マーテル』よりは
断然こちらをお奨めしますけどね。
もっとも本来でしたら
オペラの代表作を
お薦めすべきなんでしょうけど
残念ながら守備範囲外です。(^^;
ちなみに
今谷和徳のライナー文には
第1面には、どちらかといえば重厚で、表現力に富む作品が、第2面には、軽やかで、簡潔な手法で書かれた作品が含まれている。
と書かれていますけど
これはLPが出た時の
ジャケ裏に載っていたままですね。
CDでは両面とも
通しで収録されているため
どこまでが第1面で
どこからが第2面なのか
分からなくなっています。
自分の備忘もかねて
ネットで探した写真をもとに
第1面と第2面に当たるトラックを
メモしておくと
第1面:トラック1~5
第2面:トラック6~14
となります。
ご参考になれば幸い。