で、結局
管楽器が加わっている
ライプツィヒに赴任してからの復活節で
演奏されたヴァージョンの演奏は
聴けたのか。
といわれれば
聴けたことは聴けたのですが
それを収めたCDは手元にあった
というオチ。(^^ゞ
以前にも
写真をアップしたことのある
『バッハ:カンタータ大全集』第1巻
(WARNER MUSIC JAPAN
51P2-2501~2、1985.8.25)
リリース年はタスキ(オビ)に
「E・8・25」とあるだけですけど
マルCが1985年となっており
とりあえず上記のようにしましたが
1989年とするサイトもあったことを
念のため、記しておきます。
原盤のレーベルはテルデックで
〈ダス・アルテ・ヴェルク〉
というシリーズの1枚(2枚組)です。
Das Alte Werk って
直訳すると「古い作品」
という意味なんですね、おやおや。
ニコラウス・アーノンクールと
グスタフ・レオンハルトが
共同で成し遂げた
史上名高い
最初期のカンタータ全集の第1巻で
LPレコードのリリースは1971年。
全集が完結した1980年に
エラスムス賞を受賞しています。
CDの第1巻には
ディスク2枚に
第1番から第4番までを収録。
この4曲の担当は
アーノンクール率いる
ウィーン・コンツェントス・ムジクスと
ウィーン少年合唱団および
ウィーン合唱隊の面々。
少年合唱団が
ソプラノ・パートを受け持ち
(これが本全集の特徴)
その他のパートは
ソリストを迎えての演奏です。
アルトは男声
(ポール・エスウッド)で
演奏された時代を考えれば
画期的なことですが
ライナーを瞥見した限りだと
カウンターテナーという言葉は
まだ使われてないようです。
最初に買った時は
邦文解説に目を通し
原盤のライナーを
見なかったんですが
今回、改めて見てみたら
各カンタータの各楽章ごとに
声楽パートの構成と
使用楽器が書かれてました。
合唱団や合唱隊の人数までは
さすがに書かれてないようですが
通奏低音楽器の組み合わせまで
書かれているのには、びっくり。
(さすがに邦文解説でも
そこまでは転記されてません)
バッハのパート譜に
そこまで書かれている
ということなんでしょうかね。
バッハ演奏のオーセンティシティを
知らしめたいという意志が
強く感じられます。
再発盤でも
このライナーが
踏襲されているのかどうか
分かりかねますけど
こういうのを見ると
無理してでも買っとけばよかった
と思ったり。
いかに当時の自分にとって
猫に小判だったか
ということですかな。
で、実際の演奏ですが
第2、第3、第8曲で使用
と示されている
ツィンク(コルネット)や
トロンボーン(ポザオネ posaone
とある楽器がこれ)の音が
さほど際立っているふうには
聴こえませんでした。
ツィンクとトロンボーン、
通奏低音(チェロとオルガン)で
演奏される第3曲のアリアでは
かろうじてサックスっぽい音が
聴こえる気がしますけど
それがトロンボーンかしらん。
第2、第8曲は
合唱に紛れて
よく分からない。(^^;ゞ
それだけ
音のバランスがいい
ということでも
ありましょうか。
素人考えでは
全ての音が聴き取れないと
意味ないじゃん
とか思うわけですが
神の耳には聴き分けられる
という考えをベースにして
最上のものをという考えから
作曲されているわけなんでしょう。
バッハの時代の宗教音楽なら
そんなものか、と
納得しないでも
ありませんけど……。
ちなみに
アルフレート・デュルの解説
(の杉山好訳の文章)によれば
1707~8年ごろの初稿譜は残っておらず
1924年と25年に
ライプツィヒで再演した際の
パート譜しか残っていないそうです。
ということは最近の演奏は
そのパート譜から管を抜いて
初稿譜を再構築したもの
ということになりそうですね。
それはともかくとして
アーノンクールの本盤ですが
演奏自体は素晴らしく
まったく古びてません。
バッハのカンタータの
名盤にして定盤として
今でも推奨に値します。
いま現在
国内流通盤がなく
簡単に聴けないのは残念ながら
もしかして YouTube にないかな
と探してみたら、ありました。
YouTube 版だと音の質感が
ちょっと違う気がしますけど
とりあえずは。
ちなみに録音年は
原盤ライナーにはなく
実は邦文解説にもなく
タスキ(オビ)にあるだけ
というのがなんとも不思議。
それによれば
1970年12月、1971年3~4月
だそうですから
第4番は1971年でしょうか。