(白泉社、2021年6月9日発行)
Treasure Album という
作家全特集のシリーズの1冊として
刊行されたものです。
お気に入りの作家として
hont に登録しているので
新刊案内が届き
出ることを知りました。
刊行予定にあがってから
上梓されるのを
首を長くして
待っていた次第です。
自分の知る限り初の
本格的な特集本なので
ロング・インタビューは
初めて知ることだらけでした。
自作解説もありますが
それよりも
これまでの仕事について
正確なリストを
こしらえていることに脱帽。
作品名だけでなく
ページ数、執筆期間、原稿サイズ
初出誌紙名と掲載年月、
収録単行本まで記録されており
書誌マニアにとって
随喜もののリストです。
執筆作品リストだけでなく
カットなどの仕事のリストも
漏れなく掲げられており
その記録魔ぶりには
ただただ圧倒されますね。
イラストギャラリーは定番として
最後には『月は東に日は西に』と
『So What?』の書き下ろし短編、
および新作書き下ろし中編が
収録されています。
『月は東に日は西に』と
『So What?』の書き下ろしは
絵柄が微妙に変わってるけど
懐かしーなー。
いずれも後日譚ではなく
進行中のエピソードの
挿話ともいうべき話なのが
興味深いところです。
新作書き下ろしの
「古道具よろず屋日乗」は
お話の面白さはそれとして
137~138ページの
主人公の父親のセリフに
句点(。)が付いているのが
目に入ってきたり。
単なる誤植でなければ
反論は許さぬという
断言のニュアンスを
込めたものでしょうか。
ロング・インタビューには
「わかつきめぐみの本棚15選」と題して
おすすめ本を紹介するコーナーがあり
それも面白かったですけど
「荷物の整理が終わっていないので
挙げたかったのに出てこない本も
ありまして」(p.21)という言葉に
妙に親近感を覚えたりしたことでした。
冒頭のプロフィールで
最近の趣味として高額書籍をあげ
「(泣きながら買う)」と
付け足しているのも
ツボでした。
大変よく分かります(しくしく)
あとがきによれば
企画として
音楽選もあったそうですが
ページの都合で割愛されたのは
かえすがえすも残念。
あと
ロング・インタビューで
金沢在住の頃
坂田靖子にファンレターを
送りまくっていた話や
同じ金沢在住の
坂田靖子にネーム指導を受けた
という話を読み
同郷人として感涙。
二人とも
お気に入りの作家だけに
感涙の二乗ですね。
いずれにしましても
わかつきめぐみファン待望のムック本、
楽しませていただきました。
現在、東京の京橋において
原画展が開催されているそうですが
(15日まで。あと4日しかない!)
こういうご時世ですから
行くべきか控えるべきか
これは迷うところだなあ
とか考えている最中です。