前回ご案内の
森山加代子がカバーした歌は
以下のディスクで聴くことができます。
『GOLDEN★BEST 森山加代子
-EMI YEARS- 』
(ユニバーサル ミュージック
UPCY-7602、2019.8.14)
去年、ピンポンパンのCDを買うため
新宿のタワーレコードに行った時
店頭で見つけたものです。
新譜が出ていることに
びっくりしたものでしたが
3月に亡くなったばかりだったので
その追悼盤という意味あいも
あったのだろうと思います。
『レコード・コレクターズ』
2015年1月増刊号
1970−1989』に掲載されている
「アイドル・ソング100選 1959−1969」には
森山加代子のレコードが
「月影のナポリ」(1960)と
「じんじろげ」(1961)の2枚、
取り上げられています。
「月影のナポリ」はデビュー盤で
ミーナのカバー曲ですが
同時に、ザ・ピーナッツとの
競作盤でもありました。
「月影のナポリ」および
「じんじろげ」の2曲とも
上掲の『GOLDEN★BEST』に
収録されていますけど
『GOLDEN★BEST』が出る前は
森山加代子の楽曲を
ある程度の数、聴こうとすると
なかなか大変なものでした。
東芝時代のレコードは
ディスクユニオンなどで
見かけたりしましたが
そうそう気軽に買える値段でも
なかったように思います。
そんな折も折
立川のディスクユニオンで見つけたのが
こちら↓の2枚組でした。
『加代ちゃんの
ヒット・キット・パレード』
(東芝EMI: TOCT-6903・04、
1993.1.27)
こちら、そこそこのお値段だった
と記憶していますけど
よく考えたら
新譜CD2枚相当なので
中古であることを除けば
そんなにアコギな値付けではない
とかなんとか理屈をつけて
買ったのではなかったか知らん。( ̄▽ ̄)
以前ご紹介した
『ミコちゃんのヒット・キット・パレード』も
一緒に並んでましたけど
『ミコちゃん』の方が
多少、安かったかな。
それはともかく
さっそく聴いてみたところ
歌唱力が優れているというわけでは
ありませんでしたし
ちょっと間違えば泥臭くなるような
歌いっぷりなんですけど
歌詞の珍奇さと
洋楽カバー・アレンジの面白さに
見事にハマってしまいました。
歌詞の珍奇さというのは例えば……
「月影のナポリ」であれば
♪ティンタラ ディ ルナ
「メロンの気持」であれば
♪コラソン デ メロン デ メロン
メロン メロン メロン メロン コラソン
「月影のキューバ」(1960)であれば
♪パーヨ パーヨ パーヨ パッパラララ
♪ね プロント プロント プロント
「サラダのうた」(1960)であれば
♪サラダ・ドゥ・フリイ
ジョリ・ジョリ・ジョリ
「じんじろげ」であれば
♪ジンジロゲ ヤ ジンジロゲ……
「ズビズビズー」(1961)であれば
♪ズ ビ ズ ビ ズー
「パイのパイのパイ」(1961)であれば
♪ラメチャンタラ ギッチョンチョンデ
パイのパイのパイ
……といった具合。
「月影のナポリ」と「メロンの気持」、
「ズビズビズー」は
オリジナル曲そのままの歌詞ですし
タイトルの原語読みでもあるんですけど
それが妙な節回しとリズムで歌われると
奇妙なオノマトペに聴こえる不思議。
洋楽カバーが多いのも
こちらの興味関心をそそったり。
また「パイのパイのパイ」は
子どもの頃、ドリフターズが歌うのを
聴いた記憶がありますし
「五ひきの仔ブタとチャールストン」も
子ども番組か何か(それこそ
『ピンポンパン』とか)で
聴いたことがあるといった具合に
妙にこちらの懐旧心に訴える
そんなところもハマった理由ですかね。
ちなみに「メロンの気持」は
ゴールデン・ハーフも歌っていて
そちらで聴いているかも。
同時期、仲が良く
映画でも共演していて
ロマンスも噂されたという
坂本九の音楽とも
ちょっと通ずるところがある
コミカルなタッチが持ち味
といえるかもしれません。
上掲『レコ・コレ』増刊号の
「じんじろげ」の紹介コメントでは
「日本のノベルティ・クイーン」
と書かれていますけど
逆にその印象が災いして
正統的なバラードなど
今イチ面白くない(!)
という印象を残すのが残念かも。
『GOLDEN★BEST』には
『ヒット・キット・パレード』に未収録の
カバーではないオリジナル曲や
初CD化曲も入っているので
これはありがたかった。
でも
東芝時代の全曲集があってもいいかな
と思わなくもない
今日この頃です。