『ぜんぶ本の話』

(毎日新聞出版、2020年6月30日発行)

 

池澤春菜結婚の報に接したので

たまたま買ったばかりだった本書を

読んでみることにしました。

 

 

池澤春菜が声優であることや

(『ボイスラッガー』で知ったw)

池澤夏樹の娘

ということはつまり

福永武彦の孫であること

SF界隈の書評をしていることも

知ってましたけど

さほど熱心に

追いかけていたわけではありません。

 

ついでにいえば

池澤夏樹の愛読者でもない。(^^ゝ

 

でもまあ、この2人の

本についての対談なら

面白そうだと思って

買ったのでした。

 

そしてそのカンは

あたっていたのでした。

 

 

児童文学から始まり

少年小説を経て

SF、ミステリについて語ったあと

池澤夏樹から見た父の本、

池澤春菜から見た父の本を語る

という構成です。

 

だいたいにおいて

日本の本よりも翻訳ものが

読書歴の主軸を成している

というあたりは

自分も比較的そうなので

親近感が持てました。

 

 

児童文学や

少年小説を語るところは

ほんとに面白い、

ワクワクしますね。

 

児童文学や少年小説は

イギリスに限るという結論が

著しく共感できますし。

 

もっとも

自分が児童文学を読んだ

というか、ハマったのは

大学に入ってからですけど。(^^ゝ

 

 

自分は

SFにはハマらなかったので

SFの部分は流し読み。

 

それでも

池澤春菜が中学生のとき

半村良の娘さんと友達だった

というエピソードには

仰天させられました。

 

作家を父親にもった娘同士

お互いたいへんねえ、と

かこつところは大笑い。

 

本書の中でも白眉かと。( ̄▽ ̄)

 

 

ミステリについては

ミステリ・ファンの自分からしたら

やや微温的な印象。

 

池澤春菜が好きな

チェスタトンの作品が

『ポンド氏の逆説』だ

というところは

萌えますけどね。

 

文壇交友的な話は

知らないこともあって

興味津々で読めました。

 

 

自分は昔

福永武彦をよく読んだ方なので

池澤夏樹が父親を語るパートも

たいへん興味深かったです。

 

池澤春菜が今の業界に入る

きっかけなんかも

興味深かったですね。

 

 

本書で紹介されてた

ロバート・ウェストールの

『水深五尋[すいしん ごひろ]』、

面白そうだったんで

ポチッと注文。

 

その本の存在を

知ることができただけでも

読んだ甲斐があったというものです。

 

 

装幀も

昔の岩波少年文庫みたいで

おしゃれですね。

 

本好きならおすすめの一冊です。

 

 

そういえば最近

内田樹・内田るんの

『街場の親子論

 ——父と娘の困難なものがたり』

 

『街場の親子論』

(中公新書ラクレ、2020.6.10)

 

という本も出てて

読み終えたばかりですが

こちらもやっぱり父娘で一冊

というスタイルでした。

 

こちらは往復書簡という形式ですけどね。

 

内田父娘の場合は、まんがが

コミュニケーションの回路に

なってたんですけど

池澤父娘の本には

まんがの「ま」の字も

出てこないのが面白い。

 

内田父は

少女小説を読んで

コミュニケーション回路を作った

という意識があるようでしたが

池澤父は少女小説が苦手だ

というところが興味深い。

 


こんな感じで父娘本が

踵を接するように出るというのも

面白い偶然ですよね。

 

世相を反映してるのかも

とか思ったりする

今日この頃です。

 

 

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