昨晩は久しぶりに
バッハの《フーガの技法》を聴きました。
(独 Arthaus Musik: 101 467、2009.11.2)
リリース年は
タワーレコードオンラインの
データに拠っています。
2007年11月28日に
ベルリンの文化センター
ラディアルシステム5で開催された
ベルリン古楽アカデミーの
公演を収めたDVDで
去年だったか
新宿のディスクユニオンで見つけて
買っておいたものです。
冒頭、ポジティフ・オルガンによる
カンタータ《深き苦しみの淵より、
われ汝に呼ばわる》BWV38 から
コラール「たとえ私たちのもとに
多くの罪があっても」の演奏があって後
《フーガの技法》が演奏されていきます。
編成はヴァイオリン8、ヴィオラ4
チェロ3、コントラバス1
オーボエ、オーボエ・ダ・カッチャ
ファゴット(バスーン)
サックバット(トロンボーン)が各1で
それに鍵盤楽器が加わります。
編曲はメンバーの
シュテファン・メイ(ヴァイオリン)
キセニア・レフラー(オーボエ)
ラファエル・アルパーマン(クラヴィーア)
らによるもので
曲によって弦楽器のみ、管楽器のみ
鍵盤楽器のみ、というふうに
組み合わせを変えながら
演奏されていきます。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが
各1人ずつという組み合わせがあったり
ポジティフ・オルガンとオーボエ、ファゴット
という組み合わせもあったりします。
ちょうど
ニコラウス・アーノンクールの
『音楽は対話である』を
(1984/那須田 務・本多優之訳、
アカデミアミュージック、1992.11.1)
就眠儀式代わりに
ちびちびと読み続けており
オーボエ・ダ・カッチャについて
書かれた章を読んだばかりだったので
その演奏を観ることができ
なんだか嬉しくなりました。
《フーガの技法》は
楽器が指定されておらず
純粋音楽的な作品なので
様々な楽器による演奏の録音が
リリースされています。
自分は
グスタフ・レオンハルトの
チェンバロ独奏盤(一部二重奏)で
初めてこの曲を聴いたため
チェンバロ版がベストだと思ってますが
オルガン演奏版、弦楽合奏版
リコーダー合奏版など
珍しそうなものを目にするたびに
買いあさったりしました。(^^ゞ
管弦楽合奏版だと
カール・ミュンヒンガー指揮
シュツットガルト室内管弦楽団の盤を
持ってます。
例によって、皆川達夫の
『ルネサンス・バロック名曲名盤100』
(音楽之友社 ON BOOKS、1992)の旧版
『バロック名曲名盤100』(同、1977)に
推薦盤としてあげられていたから
購入したわけですが
実をいえば1度聴いたきりで
めったに聴くことはありません。(^^;
でも、演奏の質は明らかに
ベルリン古楽アカデミーの方が
いいという感じがします。
ベルリン古楽アカデミーの演奏は
ハルモニア・ムンディ・フランスから
スタジオ録音のCDも出ているようですね。
でも音だけを聴くのと
演奏を目で見るのとでは
印象がかなり異なるのではないか
と思います。
またCDの方でも
冒頭にオルガンによる
コラール独奏が置かれてますが
(フーガ主題の鏡像形に似ているのだそうな)
CD版は曲に振られた番号順に
演奏されているのに対し
DVD版は演奏の順序を変えていて
視聴者を厭きさせないような
工夫が凝らされています。
勉強のために聴くのであれば
CD版でもいいでしょうけど
演奏会として楽しむのなら
明らかにDVD版の方がベターかと。
ほとんどの盤で演奏されない
最後の未完のフーガも
演奏されています。
ドキドキしながら聴き進めて
ふっと曲が途切れた時は
感銘を受けると同時に
深い悲しみに包まれたり。
いずれにせよ
これほどコンサート映えする演奏は
珍しいというか
《フーガの技法》で
コンサートができるというのが
驚きでした。
これはおすすめの1枚です。