『ハヤカワミステリマガジン』の裏表紙は
洋画の広告が載ることが多いんですけど
先に当ブログで取り上げている
11月号の裏表紙に載っていたのが
アンナ・カリーナ主演の
テレビ映画『アンナ』
デジタルリマスター版の公開情報でした。
裏表紙を見た途端
これは観に行かねば!
と思ったのですが
増税前に行くことはかなわず。
昨日、横浜で塾の会議があったので
交通費の節約になるのを幸い
会議前に渋谷へ寄って
鑑賞してきた次第です。
ヒューマントラストシネマ渋谷は
初めて行く映画館だったので
それなりに余裕を見て出たんですけど
見事に迷ってしまいまして。
結局、劇場にたどり着いたのが
上映時間の20分前になってしまったため
朝・昼食抜きになってしまったという。
(余裕を見て出て朝食抜きとはいかに
と、そこは突っ込まないでくださいな)
『アンナ』は
もともと1967年1月13日に
フランス国営放送の第1チャンネルで
放送されたものですが
1998年になって
日本で世界初ロードショーが実現しました。
当時、いわゆる渋谷系の音楽が流行っており
その渋谷系のミュージシャンが
60〜80年代のフレンチ・ポップスを
リスペクトしていたこともあって
フレッチ・ポップスや
その背景であるフランス文化に
注目が集まっていたようです。
当時の東京での公開が
渋谷のPARCOスペースパート3なのは
実に象徴的。
そんなこんなで
当時の日本では『アンナ』が
DVD化されたりしていたんですけど
当然ながら現在はすでに廃盤。
(中古ディスクは今では4ケタ超え)
自分のような
今ごろになってフランス・ギャルにハマり
イエイエ・ブームをたどっている
遅れてきたフレンチ・ポップス・ファンには
まさに幻の映画だったわけです。
それがデジタルリマスターされて
劇場で観られるとあっては
この機会を逃すわけにはいきますまい。
劇中で歌われる曲はすべて
セルジュ・ゲンスブールの作詞作曲で
しかもゲンスブール自身も出演している
とあっては、なおさら
観逃すわけにはいきませぬ。
以下、簡単に感想なぞ。
この映画はいちおう
ミュージカル・コメディ Comédie Musicale
とされているんですが
ミュージカルといえば
アメリカ式のものしか知らない自分には
とてもミュージカル映画とは思えず
(コメディといえばいえなくもないけど)
アヴァンギャルドな恋愛映画を観せられた
という印象が強かったです。
黒ぶち丸眼鏡のアンナ・カリーナがカワイイ
ということ以外の情報は仕入れず
ゲンスブールの関与の知識もあやふやなまま
ストーリーも確認せずに行ったので
何が起きているのか分からない
何でこうつながるのか分からない
という場面やシークエンスが
多かったですね。
そのため何度、寝落ちしかけたことか。(^^;ゞ
今は、パンフの解説などを読んで
ストーリーも何となく分かりますけど
オープニングの
ペンキをぶっかけ合うシーンは
まったく意味不明としかいいようがなく
また、それについてはパンフでも
解説されていないもんですから
お手上げです。
後半に挿入される
ジャン=クロード・ブリアリ演じるところの
主人公セルジュの幻覚シーンも
ひたすらシュールでサイケで
意味不明なんですが
そんなところも、ある意味
フランス映画らしいかも、とか思ったり。
ゲンスブールを出演させながら
その友人の主人公の名前を
セルジュにするあたりも
ひねくれたユーモア
というやつでしょうかしらね。
あと
上掲の雑誌裏表紙に採用されている
アンナ・カリーナの
ヴィジュアル・イメージでも
確認できると思いますけど
透明なレインコート様のものを
羽織ってるシーンが
わりと多かったというか
印象に残ってるんですね。
あれは単に撮影時
雨にたたられたからなのか
おしゃれで未来的な絵を
撮りたかったからなのかも
気になったり。
映画の最初の方で
アンナが公園で出会う
通りすがり(?)の人を演じたのは
誰なのかも気になるなあ。
あのシーンのやりとりは
わりと好きなもので。
(ちょっと思いついて
フランス語版 Wikipedia で調べてみたら
アンリ・ヴァルロジューという人だと
分かるには分かりましたが……)
こちら↓が今回の映画パンフ。
(VALERIA、2019年9月27日発行)
『CINEMA VALERIA[シネマ・ヴァレリア]』
という雑誌(ZINE[ジン])の7号で
1冊まるまる『アンナ』特集号になります。
映画の結末が明かされているので
観る前に読まなくて良かった
とは思うものの
おかげさまで、といいましょうか
ストーリーがよく分からなかったのは
痛し痒しといったところかな。( ̄▽ ̄)