前回ふれたところの
クラウディオ・アラウが
1942年に録音した『ゴルトベルク変奏曲』は
1988年の8月になって
初めてリリースされました。
その後、1992年にも
リリースされたようですが
手許にあるのはこちらの盤です。
(BMGファンハウス BVCC-37312、2001.12.19)
1988年のCD掲載の
ライナーノーツの翻訳に加え
浅里公三の解説を掲載。
いずれも
アラウがゴルトベルクを録音した経緯や
リリースを延期した経緯が
書かれているだけでなく
最初のライナーノーツでは
アラウが当時使用した楽譜や
ペダルの不使用という演奏法についても
書かれています。
もとより当方
楽器については素人ですから
後者の演奏法については
正確に把握できているかどうか
自信はないものの
資料として貴重かと。
音はそれなりの音で
グールドの1955年盤と
あまり違わない感じがします。
グールドの1955年盤は
もしかしたら
新しくリマスタリングされて
昔よりも音が良くなっているかも
しれませんけど。
アラウの本盤が史上初めての
ピアノによる全曲録音であるわけですが
グールドのスイング感には匹敵しないものの
それに勝るとも劣らない
名演奏だと思います。
楽譜の指定通り
すべての繰り返しを演奏しているのも
アラウ盤の特徴。
繰り返しを全部演奏しても
CD1枚に収まるんですから
(トータル タイムは78分2秒)
かなりテンポのいい演奏だと
いえるかもしれません。
当時の売り方だと
SP盤で6枚組くらいになるのか、
そういう売り方の時代からこそ
繰り返しもすべて演奏できたわけで
LP時代だと逆に難しいでしょうね。
なお、1988年にリリースされた際
アラウがRCAに録音した
他のバッハの楽曲が
一緒に復刻されたようです。
そちらを聴きたくて買ったのが
いつだったか目にとまった
こちらのデジパック仕様2枚組。
(仏 BMG Music: 74321 845 932
LC-00316、2001)
ジャケット デザインが
ぶっ飛んでいるのは
いかにも、おフランスな感じ。( ̄▽ ̄)
2枚組のうちの1枚は
まるまる『ゴルトベルク変奏曲』で
これは当然、BMGファンハウス盤と同じ。
もう1枚の方に
インヴェンションとシンフォニアからの6曲と
半音階的幻想曲とフーガが
収められています。
(録音は1945年)
それだけだと収録時間が余ってしまうため
ワンダ・ランドフスカによる
プレイエル社製モダン・チェンバロの演奏で
・協奏曲 ニ長調 BWV 972
・プレリュード、フーガとアレグロ 変ホ長調 BWV 998
(以上は1946年の録音)
・カプリッチョ 変ロ長調 BWV 992
「最愛の兄の旅立ちに寄せて」
・パルティータ 第2番 ハ短調 BWV 826
(以上は1957年の録音)を併録。
アラウの演奏に続けて
ランドフスカの演奏を聴くと
モダン・チェンバロというのが
いかに妙な音を出す楽器だったのか
よく分かってしまい
哀しくなってくるのが珠に瑕
といったところです。