ヨハネ受難曲を聴きに
三鷹市芸術文化センターに行った時
ロビーに置いてあったフリーマガジン
クラシック音楽情報誌『ぶらあぼ』を
手にとりました。
(東京MDE、2019年4月号、26巻4号、通巻299号)
帰ってきてからぱらぱらと見ていて
目にとまったのが
ヴォーカル・コンソート東京が
バッハのロ短調をやるという
演奏会の案内広告でした。
ヨハネを聴いたばかりだったせいか
なんだか勢いで
チケットを予約してしまったという。(^^ゞ
それが1週間前のことで
昨日、最寄り駅そばの歯医者に行った後
渋谷に向かうことに。
歯医者の予約を入れたあとに
何も考えずにチケットを買ってしまい
治療後に向かっても間に合うかしらん
と心配していたのですが
余裕で間に合いました。
途中、乗換駅の下北沢で下車して
ディスクユニオンに
寄っていく余裕もあったという。( ̄▽ ̄)
会場の渋谷区文化総合センター大和田
というのは初めて行く場所で
さほど迷わずに着きましたけど
なぜか幼稚園の脇にある
裏口(?)の方に着いてしまい
そこから入りました。
いちおう、ブログの写真用に
正面入口にも回ってみましたけど
途中に建っているモニュメントは
どういう意味や由来があるんでしょうね。
会場は同ビル4階のさくらホール。
すでに行列ができており
全席自由席なので
いい席はないかなあと思いつつ
入ってみれば
客席を横切る通路が
すぐ後ろになる席のほぼ中央あたりに
つくことができました。
開場は18:00、開演は18:30で
途中15分の休憩をはさみ
20:50ごろの終演でした。
CDでも2枚組であり
キリエとグロリアで1枚、
サンクトゥス以下で1枚という構成で
だいたい2時間ほどの尺ですから
まあ、妥当なところです。
もっとも、今回の演奏では
途中、サンクトゥスとホザンナの間で
合唱団の位置が変わり
器楽奏者が調律する間が入りました。
サンクトゥスまでは、下手から
ソプラノ群(女性9)、アルト群(女性5、男性1)、
テノール群(男性6)、バス群(男性6)
という並びだったと思いますけど
ホザンナから(要は第3部から)
ソプラノ群とアルト群が
テノール群とバス群をはさむ形になりました。
ロ短調ミサの公演自体
映像にせよ実演にせよ
観る機会はあまりなかったのですが
第3部の前に位置を変えるというのは
かなり珍しいのではないかと思います。
今回、演奏に使った楽譜は
ドレスデン・パートに基づく最新版だそうで
キリエとグローリアを含む第1部を
バッハ自身がドレスデンの宮廷で演奏した際の
パート譜(声部ごとの楽譜)を基にした
ものなのだとか。
通奏低音に
テオルボが加わっているのは
(パンフによれば)そのためだそうですが
合唱群の並びの変化も
そこらへんと関係してるのかどうか
単なる古楽ファンに過ぎない
素人の自分には分かりません。
通奏低音はテオルボの他に
ポジティフ・オルガンと
バロック・チェロが担当。
その他の楽器は
弦楽器はヴァイオリンにヴィオラ、
コントラバス(ヴィオローネ)
木管楽器はフラウト・トラヴェルソ、
オーボエないしはオーボエ・ダ・モーレ
(曲によって持ち替えてた模様)とファゴット
金管楽器はトランペットとホルンで
これに打楽器のティンパニが加わります。
コンサート・ミストレスの戸田薫は
シギスヴァルト・クイケンに指示し
ラ・プティット・バンドで演奏されてたことを
帰ってからパンフを読んで知りましたけど
ソプラノ独唱のラウダムス・テでの伴奏が
実に軽やかで心地よかったので
さもありなんという感じ。
ソプラノとアルトによる
ドミネ・デウスの二重唱や
テノール独唱のベネディクトスでの
フラウト・トラヴェルソの音色は
とても澄んでいて綺麗でした。
トランペットやホルンは
現在のバルブのある形態ではなく
金管を巻いただけのものなので
音程を安定させるのが難しい楽器として
古楽器ファンにはつとに知られています。
今回の演奏ではホルンの演奏が
かなり危なっかしかったですけど
トランペットは比較的、安定してました。
こういうふうに書くと
クサしていると思われそうですが
そういう難しさがあると思って聴くので
ちょっとイヤらしい趣味かも知れませんけど
不安定なら不安定なりに
ドキドキニヤニヤしながら
楽しめたりもするのでした。(^^ゞ
ヴォーカルは
全体的にバス・パートが
バス・パートであるにもかかわらず
低い音域がやや弱い気がしました。
ヴォーカルでいちばん印象的だったのは
アルト独唱によるアニュス・デイの
男性のカウンターテノール。
ファルセットかと思うくらいで
正統的な(というのも変ですけど)
カウンターテノールが聴けるとは
思いもよらず。
他のお客さんも感心したのか
最後の拍手も大きかったようです。
こちら↓がパンフ。
三つ折りカラー6ページのものに
別冊で二つ折り4ページの
楽曲解説が付いています
今回、生で聴いて思ったのは
メロディーがやたら美しく
ノリがいいこと。
ミサ曲なのに
こんなにポップな感じでいいのだろうか
と思うくらいでした。
古楽器による演奏であることも
ノリの良さに与っているのかもしれませんし
自分がCDで何度も聴いているため
一緒に歌いたくなるぐらい
メロディーラインに親しみがあったからかも。
あと、器楽のバス・パート、
バロック・チェロ2本とヴィオローネ
プラス通奏低音のパートが
全体的に大活躍していることに
気づかされました。
CDでぺったりと聴いているだけでは
なかなか分からないものでして
今回の公演を観たことで
CDの聴き方が変わるかも
とか思った次第です。