『タカコさん』4

(ノース・スターズ・ピクチャーズ発行

 徳間書店発売、ゼノンコミックス、2019.3.10)

 

第40話から第51話までと

オーダーメイドまくらを買いに

(というより作りに?)行く

特別編を収録。

 

 

第43話は楽器を練習している音が聴こえる話で

第44話はスポーツ観戦の音が聴こえる話。

 

いわゆる生活音(生活騒音)が扱われてますけど

タカコさんは騒音とは思わないようで

いずれも実に寛容なのには

感心させられます。

 

いずれも

作者の実体験に基づいているようですが

生活騒音だと思わず

いろいろ想像してみることで

イライラの対象にはならない

ということでしょうか。

 

 

第46話では

イートインのコーナーがあるパン屋での

子どもが騒ぐ声に対して

実に寛容。

 

子どもの笑い声は元気が出る

なんて考えてます。

 

同じ話では

病院での子どもの泣き声にも寛容。

 

待合室にいた老婆が

診療室から出てきた泣いている子どもに

「がんばったわねえ」と声をかけるコマ

昔はよく見た風景のような気もします。

 

全身で泣いている子どもに

昔の、子どもだった頃の自分を

重ねているのかもしれないですね。

 

また、泣いている子どもを抱いた母親への

自分は気にしていないという

サインかもしれません。

 

 

第48話の

料理を煮込んでいる音の変化で

食べごろかどうかが分かるタカコさんの耳

おそるべし。

 

別に、ル・クルーゼを使っているから

というわけでもないでしょうけど。

 

 

第50話は実家に帰る話ですが

26歳のタカコさんの両親、特に父親は

なんか老けすぎてるような……。

 

 

そして第51話、

タカコさんの友人ヒロさんが

好きな仕事をしているのに

弱音を吐いたりしている姿を

むしろ肯定的に捉えて励ます話は

なかなか社会派な感じでいいですね。

 

「「好きなことできてるんだから

 満たされてるはず」

 って思っちゃうと

 現実とのギャップで

 余計しんどいってことも

 あるんじゃない?」(p.116)

「どんな仕事だって

 楽しいばかりじゃ

 ないもの。

 念願叶ったんだから

 つらいって

 言えないのなんて

 おかしいよ。」(p.117)

 

というタカコさんの台詞、

作者がまんが家だからこそ書けたネーム

という感じがします。

 

 

前回の『ワカコ酒』も今回の『タカコさん』も

地元の新刊書店で買いましたが

『ワカコ酒』12巻は

平積みの山がふたつ、できるくらい

入荷してましたけど

『タカコさん』4巻は棚差しで

2冊くらいしか入ってませんでした。

 

一瞬、入荷していないのか

と思ったくらい、地味な扱い。

 

 

ページ数も

『ワカコ酒』と比べると

20〜30ページほど少ないので

薄く感じられます。

 

主人公の背が小さいから

それに合わせてるわけでも

ないでしょうけど(笑)

 

にもかかわらず

『ワカコ酒』と値段は同じですから

わりを食ってしまう感じですけど

内容はなかなかどうして

重量級だったりします。

 

『ワカコ酒』と同じくらい

読まれてもいいんですけどねえ。

 
 
ペタしてね