いささか時間が経ってしまいましたが

11月新派特別公演として

『犬神家の一族』が上演されるということで

11月21日(水)の夜公演を観劇するため

新橋演舞場に行ってきました。

 

 

生協の、催し物専用のチラシに

一等席のチケットが

生協限定の感謝デー特別価格として

載っているのが目にとまり

抽選だったんですけど

ダメ元で応募したら

当たったのでした。

 

正価のほぼ半額なだけでなく

お弁当とプログラムが

特典で付いてくるという

至れり尽くせりの計らい。(^_^)

 

『犬神家の一族』新派公演チケット他

 

新橋演舞場に行くのは初めてでしたが

地下鉄の東銀座駅を出ると

遠目に劇場名が見えたので

さほど迷うことなく着きました。

 

野村不動産ビル(新橋演舞場裏)

 

でかでかと劇場名が出てますけど

演舞場の入ったビルというわけでもなく

野村不動産のビルなんですよね。

 

新橋演舞場入口(2018.11.21)

 

お弁当なんて

いつどこで食べるのかと思い

引換券と交換したとき聴いてみたら

幕間の休憩時間中に食べるのだそうで。

 

それから

ツイッターのタイムラインで流れてきてた

噂の「犬神家の饅頭」を

これは自腹で購入。

 

犬神家の饅頭

 

無事、饅頭を買ったあと

前から12列目の席に就いたのですけど

すぐ前の席の人が日本髪の方で

少し座高もあったために

真正面の視界が遮られたのは残念。

 

まあ、すべてが上手くいくとは

限らないもんです。

 

 

明日が千穐楽なので

菊人形のアレや湖の足のアレを

どう処理したのかについて

書くのはやめておきます。

 

ただ、第一部の最後で

早々に殺人犯の正体を明かしたのが

新鮮な演出だったということは

記しておきたい。

 

それでも謎解きの興味が残るように

原作のプロットができているのですけど

よく思い切ったものだと思います。

 

 

原作や市川崑の映画だと

犬神家と因縁が深くない役を

水谷八重子が演じていたんですが

そのためでもありましょう

かなり重要な役回りに変更され

独り舞台の場も用意されてました。

 

大人の事情を意識させられた次第です。

 

 

原作や映画とは違って

端役以上の役回りになっていたのが

もう一人、犬神小夜子。

 

ちょっと

ATG映画版『本陣殺人事件』の

一柳鈴子が入っている感じでしたが

これは演者ともども

良かったです。

 

 

喜多村緑郎が演じる金田一は

なかなかハマってました。

 

新派劇の『黒蜥蜴』や

『怪人二十面相』では

明智小五郎を演じたそうなので

これで日本の二大名探偵を

演じたことになりますね。

 

 

野々宮珠世が

ダブルキャストなんですけど

自分が観た回は

女形の河合宥季が演じる

和装の珠世さんでした。

 

『黒蜥蜴』では

宝石商の娘・早苗さんを演じたという

春本由香が演じる洋装の珠世さんを

観てみたかったなあ。

 

 

社会批判めいたモチーフも

そこここに散見されました。

 

結末近くの

戦争に絡めた日本人批判は

現在でも通用しそうでしたけど

ちょっと古風なのは否めませんし

忘れっぽい日本の庶民を批判するだけで

権力批判にまで行かないところが

個人的には物足りなかったです。

 

ただ、それとは別に

今回の脚色と演出は齋藤雅文ですけど

『犬神家の一族』が市川崑の映画化以来

何度も映像化され消費されることを通して

どんどん社会的な深みを増していったことや

深見を増していくことに堪えられる

強靭なテキストだということに

改めて感じ入った次第です。

 

テキストは成長するものだということを

まざまざと見せつけられたとでも

いいましょうか。

 

 

あと、BGMはオリジナルですけど

市川版『犬神家』のテーマが

2回だけ、使われていて

ニヤニヤさせられたり。

 

橘署長を演じる佐藤B作も

角川映画版の加藤武を

意識していたようですし

やはり角川映画の影響はすごいですね。

 

角川映画が取り上げなければ

『犬神家の一族』も

ここまで成長するコンテンツには

ならなかったのではないかと思うと

感慨深いものがあります。

 

 

16:30開演で

途中35分の休憩を挿み

終焉が19:35と

本編が2時間半

休憩も入れると3時間近くという

長時間にわたる公演でしたけど

長さを感じさせない

総じて楽しめる舞台でした。

 

休憩時間中にいただいた

お弁当の中身はこちら。

 

新派公演お弁当

 

こぢんまりとしてますが

意外と腹ふくるる内容でした。

 

 

プログラムには

主要キャストのコメント、および

ペリー荻野と有栖川有栖によるエッセイの他に

記者会見のレポートが載っています。

 

新派公演『犬神家の一族』プログラム

(松竹、2018年11月1日発行)

 

劇場での頒価は1300円で

その値段でも購入したでしょうが

特典としてチケ代に含まれていたのは

やっぱり、ありがたいですね。

 

キャストのコメントで

喜多村緑郎が

江戸川乱歩が新派の時代物なら

横溝正史は新派の世話物

といっているのは

興味深い見立てでした。

 

 

以上、乱文長文深謝。

 

明日からの採点、ないし

ゲラ校正作業のお伴は

「犬神家の饅頭」になりそうです。

 

(まだ開けてなかったのでした【^^ゞ )

 

美味しかったり

デザインが面白かったりしたら

また取り上げることにしましょうかね。

 

 

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