アグネス・チャンが
ウィルマ・ゴイクのカバーをしている
ブログ記事を書くにあたって
せっかくなので
カナダ留学時代に出したアルバムの
他のカバー曲の原曲を調べてみました。
昔と違い
原題と原曲の作詞作曲者名を
Google の検索窓に入れれば
あっという間に
分かってしまうのですから
便利な時代になったものです。
そうして検索してみたところ
残りの曲のほとんどが
シルヴィ・バルタンのカバーだと
分かりました。
まさかアグネスが
シルヴィ・バルタンを
カバーしているとは思いもよらず
これにはびっくり。
今だからこそ
「アイドルを探せ」他で有名だ
ということは知っていますし
楽曲も耳にしていますけど
少し前だったら確実に
「誰?」と思っていたはず。
これもまた御縁というか
何事にもタイミングというものが
あるのだなあと
つくづく思った次第でした。
カナダ留学時代にリリースした
3種類のアルバムのうち
ふたつ目の『私の恋人』(1977.8)には
先に紹介したウィルマ・ゴイクの曲と
中国民謡とされている「初恋」以外に
同アルバム収録の「少し待ってて」が
シングルカットされた際
B面に収められた「頬に青い風」
(ワーナー・パイオニア L-164W、1977.8)
そして「勇気を下さい」という
2曲のカバー曲が収められています。
この両曲とも
シルヴィ・バルタンのカバーです。
「頬に青い風(Je m'en vas)」は
バルタンのアルバム『愛のひとりごと』
Ta sorcière bien aimée(1976)に入っており
邦題は「あなたとの明日」。
(VIVID SOUND CORPORATION
VSCD-9122、2013.6.19)
「勇気を下さい(Ma liberté)」は
同じくアルバム『そよ風のブロンド』
Qu'est-ce qui fait pleurer les blondes ?
(1976)に収録されており
邦題は「私に自由を」です。
(VIVID SOUND CORPORATION
VSCD-9123、2013.6.19)
上掲の写真はいずれも紙ジャケ復刻盤。
VIVID SOUND CORPORATION は販売元で
輸入元は SUPER STOP INC.
レーベルは CULTURE FACTORY と
表示されています。
整理記号の VSCD は
VIVID SOUND CORPORATION のものでしょう。
それはともかく。
「頬に青い風」=「あなたとの明日」は
作詞作曲ともミッシェル・マロリーで
マロリーはバルタンや
その夫だったジョニー・アリディに
多くの曲を提供しており
『愛のひとりごと』の
復刻盤CDの解説(水上徹)を読むと
「シルヴィの側近のスタッフ」
とまで書かれていました。
アグネスのバージョンは
ラストショウによるアレンジですが
バルタンのオリジナルの雰囲気を
かなり残してます。
昔、中学生のころ聴いた時
てっきりカントリーか何かが原曲だと
思ってたんですけど
まさかバルタンだとは思いもよらず
ただただ、びっくり。
中学生の頃に知ったとしても
誰それ? だったでしょうけど。( ̄▽ ̄)
「勇気を下さい」=「私に自由を」は
イタリアのシンガーソングライターで
ジャズ・ピアニストでもある
パオロ・コンテの楽曲に
ジル・チボーが
フランス語の詞をあてたもの。
つまり「勇気を下さい」は
カバーのカバーになるわけ。
アグネスのバージョンは
これもラストショウのアレンジ。
やはりオリジナルの雰囲気が
かなり残ってますけど
ピアノ伴奏や間奏のギターは
アグネス・バージョンの方が繊細で
美しい感じがします。
ファンの贔屓目かしらん。(^^ゞ
コンテの原曲にフランス語詞を付けた
チボー(ティボとも)は
バルタンとアリディにも
多くの詞を提供していますけど
フランス・ギャルの元夫
クロード・フランソワが
ギャルと別れた後に歌うことになる
Comme d'habitude(いつものように)
の共同作詞者として
もっともよく知られているかと思います。
同曲に
ポール・アンカが英語の詞を付けて
フランク・シナトラが歌ったのが
かの有名な「マイ・ウェイ」なのでした。
パオロ・コンテは
ミュージシャンであるだけでなく
画家であり、元弁護士だという
異色の経歴の持主で
公式サイトの写真を見ると
実にシブくてカッコいい感じのオジさん。
(年齢的にいって、ジイさんかな? w)
映画でもしばしば
その楽曲が使われていて
ヨーロッパでの知名度は
抜群のようです。
コンテの曲の原題は
Questa sporca vita(1975)で
これは「この汚れた生活」という
意味のようです。
検索してみたら
YouTube にアップされてましたので
貼り付けておきます。
アグネスの「勇気を下さい」を
聴き慣れた方
聴き覚えのある方なら
おおっと思うこと間違いなし。(^_^)v
上の「この汚れた生活」が
「私の自由」になって
「勇気を下さい」となったわけです。
コンテの歌の内容は
オリジナルの歌詞を
グーグル翻訳にかけてみたところ
意味不明なところも散見されますが
人生を歌った唄のようです。
少なくとも恋愛の歌ではありません。
それに対してバルタンの歌は
復刻版CDの解説(水上徹)によれば
「世界中のお金を集めても
私の自由を買うことはできないわ」
けれども
「あなたに出会って、私はためらわずに
あなたに私の自由をあげたのよ」
という意味だそうですから
どうやらラブ・ソングみたいですね。
それらに対してアグネスの曲は
亡くなった父親を偲ぶ歌になっています。
そもそも『私の恋人』自体が
父親に捧げられたアルバムなのでした。
なお、今回の
カバー曲の日本語詞はすべて
「少し待ってて」の作詞者でもある
三浦徳子(よしこ)によるものです。
(この項続く)