ラファエル・プヤーナは
ワンダ・ランドフスカに師事した
南米コロンビア出身の
チェンバロ奏者です。
Wikipedia によれば
ナディア・ブーランジェにも
師事したとのことですので
フィリップ・グラスの兄弟子
ということにもなりそうです。
1960年代の録音では
モダン・チェンバロを使用していたので
古楽器演奏全盛の今日
あまり振り返られることがない
という印象です。
門下には
クリストファー・ホグウッドがいたり
後にはオリジナル・チェンバロを蒐集して
レプリカを作成したりしたそうで
となると
オリジナル楽器による演奏が
あってもいいし
あるんですけど
自分の知るかぎり1枚
(もしかしたら2枚)
あるだけです。
最もよく知られているのは
アメリカの
マーキュリー・レコードに
残された録音を集成した
3枚のCDでしょう。
先日、その1枚を
立川のディスクユニオンで
見つけまして
それが今回紹介する1枚です。
(米 Mercury: 462 959-2、1992)
Baroque Masterpieces for the Harpsichord
という原題を直訳すると
『バロック時代のチェンバロ傑作集』
とでもなりましょうか。
カタカナ表記で
『バロック・マスターピース』
とでもした方が
今風かもしれませんけれども。
フレスコバルディやテレマン、
スカルラッティ、フィッシャー、
C・P・E・バッハなど
バロック音楽ファンなら
お馴染みの作曲家に混じって
初期バロック時代のイタリアの音楽家
ジョヴァンニ・ピッキの
『チェンバロのための舞曲集』(1619)
という珍しい曲が入ってました。
珍しい、というのは、つまり
自分が知らなかった
というだけのことですけど。f^_^;
もっとも
現在のカタログで
ピッキの曲だけを集めたCD
というのはないようです。
『チェンバロのための舞曲集』が
全何曲か知りませんけど
本盤には8曲収められていて
ここまでまとまった録音は
他にないことを思えば
貴重な1枚だといえるでしょう。
ピッキの舞曲集、
ちょっと聴いただけでは
モダン・チェンバロの演奏と
思えないくらいだったので
びっくり。
フレスコバルディの演奏も
微妙なところはありますが
ヒストリカルっぽい感じ。
残りのその他、
テレマンやC・P・E・バッハ、
スカルラッティ、フィッシャーなどは
一聴しただけですぐに
モダン・チェンバロの音だな
と露骨に分かるんですけれども。
使用楽器は何なのか
どこにも書かれていませんけど
マーキュリー時代の録音をCD化した
3枚のうちの1枚
『チェンバロ音楽の黄金時代』
The Golden Age of Harpsichord Music
(ポリグラム PHCP-10406、1996.11.4)
と同じだとすれば
2段鍵盤7本ペダルのプレイエル社製
通称ランドフスカ・モデルでしょう。
ジャケ写の楽器がそれ。
ちなみに
モダン・チェンバロについては
以下のページが
たいへん参考になります。
http://spinett.blog.fc2.com/blog-entry-4.html
グスタフ・レオンハルトが
デビュー当時に弾いていたのと
同じタイプのモダン・チェンバロを
写真で確認できるとは
思いもよりませんでした。
ところで上掲の
『チェンバロ音楽の黄金時代』は
今回のCDと同じく
マーキュリー・リヴィング・プレゼンス
というシリーズの1枚。
こちらの日本流通盤があるのなら
『バロック・マスターピース集』の
国内流通盤CDがあっても
いいはずなんですけど
出たかどうかは
寡聞にして知りません。