MJQのリーダー、ジョン・ルイスは
ジャズ・カルテットで
バロック音楽とのコラボレーションを
試みただけでなく
奥さんで鍵盤奏者でもあった
ミリヤナ・ヴルバニッチと一緒に
バッハのゴルトベルクを録音しています。
それが今回紹介する2枚のCD。
(PART 1:日本フォノグラム 32JD-10001、1987.3.10
PART 2:日本フォノグラム 28JD-10060、1987.9.5)
レーベルはフィリップスで
PART 1 は1986年11月11〜14日、
PART 2 は1987年4月20〜24日に
ニューヨークの教会で録音されました。
なお、上記のリリース年月日は
PART 1 のみ
Amazon のデータに拠ります。
なぜか手許のCDには
ジャケ本体はもちろん
タスキ(オビ)のどこにも
表示されていないので。
手許にある盤は
PART 1 の方が
普通のタスキ(オビ)なのですが
PART 2 の方が
裏面全体を覆うタイプのタスキ。
したがいまして
一般的なタイプの方(PART 1)が
再発盤のような気がしないでもなく
だとしたら上記
PART 1 のリリース年月日は
正しくない可能性もありますけど
とりあえず記しておく次第。
こちらの2枚も、先に紹介した
『200CD バッハ 名曲・名盤を聴く』(2000)で
知ったかどうかしたものでして
中古CDを見つけた時は
ほんと、嬉しかったです。
どこで見つけたのか
よく覚えていませんし
PART 2 の方を
先に見つけたような気も
しているのですけど
だとしたら、よくもまあ
バラで見つけられたものです。
本盤で奥さんのミリヤナ・ルイスは
ハープシコード(チェンバロ)を
演奏しています。
ソロで弾いたり
ジョン・ルイスが
ピアノでインプロヴィゼーション
(即興演奏)する際に
伴奏を務めたり。
もっとも
本盤におけるジョン・ルイスの演奏は
きちんと計算されたものでしょうから
インプロヴィゼーション
というのは変かもしれませんけど。
楽器がモダンなのかヒストリカルなのか
どこにも書かれていませんので
分かりませんが
ジャケ写の感じだと
ヒストリカルっぽいですね。
音色は、個人的には
今イチだと思いますけど。
本盤の英題は
The Chess Game:
Based on Bach's "The Goldberg Variations"
というのですが
奥さんをクイーンに
自分をキングに見立て
交互に駒を動かしていく
(=交互に演奏する)
という趣向だと思われます。
アリアと各変奏パートが
まずはハープシコードで
続いてのトラックでは
ハープシコード伴奏付きのピアノで
演奏されていきます。
模範演奏とインプロヴィゼーション
という対の組み合わせが
延々と続くかといえば
そればかりではなく
ハープシコード・ソロのみの
変奏パートもありますし
インプロヴィゼーションが2回
続く場合もあります。
ここらへんの組み合わせについては
いろいろと練られた意図が
あるのでしょうけど
自分はチェスに通じていないので
十全に説明することができません。
そこがちょっと
くやしいというか
残念なところでして
忸怩たるものがあります。
本盤の企画は
日本側のプロデューサーから
出されたもののようです。
おそらく
夫婦が2台のピアノで連弾
くらいのイメージで
オファーしたのではないでしょうか。
それに対して
ピアノとハープシコードによる
チェス見立てのセッションという
『鏡の国のアリス』張りのアイデアで
編曲して仕上げているのですから
チェスの趣向を十全に
汲み取りたいところなんですが……。
なお、ジョン・ルイスは
バッハの平均律クラヴィーア曲集から
何曲かのプレリュードとフーガを
フーガ部分のみ他楽器と演奏したCDも
全部で4枚、出しています。
そちらは、かつて
1枚目を入手したきり
いまだに揃えられておりません。
(日本フォノグラム PHCE-3027、1993.12.20)
この1枚目を持っていることも
忘れていたという。f^_^;
また探し始めてみようかしらん。