西田ひかるが
『フィフティーン』でデビューする前に
アニメ『小公子セディ』(1988)の
主題歌を歌っていたことは
アニメの方のファン
あるいはまた
西田ひかるのファンに
よく知られていることかと思います。

 

その主題歌(OPテーマ)と
副主題歌(EDテーマ)が
テレビだと、どんな感じだったのかなあ

と思い立って
『小公子セディ』のDVD第1巻を
中古で購入して観てみました。

 

『小公子セディ』Vol.1

(バンダイビジュアル BCBA-0847、2001.8.25)

 

上記の発売年月日は
Amazon のデータに拠ります。

 


正副主題歌だけ視聴する
というのも変なので
収録されている第1〜5話を
全話、通して観ることに。

 

自分は、読んでから観るタイプなので
アニメの方を観る前に
たまたま手許にあった原作
角川文庫の旧訳版

 

『小公子』角川文庫(旧訳版)

(松原至大訳、1954.4.20/1971.4.30. 20版)

 

こちらに目を通したのですけど
(お恥ずかしながら今回が初読 f^_^ )
アニメの導入部が
原作とあまりに違うので
びっくりしてしまいました。

 

原作とのズレについての話は
また機会がありましたら
ということにして
今回は、第1話に出てきた
びっくりしたカットのことを。

 


第1話「ニューヨークはぼくの街!」に
新聞社(?)に務める
セディの父ジェイムズが
イギリスの『タイムズ』紙を
読むシーンがあります。

 

劇中では
『ロンドンタイムズ』と
言われてますけど
その『タイムズ』の最終面にあった

 

Murderous Attack upon Sherlock Holmes

 

という見出しに

目がとまりました。

 

もっともアニメだと
attack は atack になってたし
途中、一瞬だけ
Holmes が Halmes に
なっていましたけれど ( ̄▽ ̄)
シャーロック・ホームズに関する記事なのは
明らかです。

 

同じ紙面に
「Moriarty」(モリアーティ)
という見出しも
ありましたしね。

 


びっくりして

上の見出しで検索してみたところ
YouTube にアップされている
ジェレミー・ブレット版の映像が
引っかかってきました。

 

 

付されているコメントによって
『シャーロック・ホームズの事件簿』(1927)収録の
「高名の依頼人」(1924年初出)だと判明。

 

ああ、便利な時代だ。( ̄▽ ̄)

 


ジェレミー・ブレットの映像版では
『ストランド・マガジン』の
1925年2月号に載った挿絵どおり
新聞売り(号外売り?)が
義足であることまで

忠実に再現しているにも関わらず
なぜか記事の見出しを

 

Murderous Attack on Sherlock Holmes

 

というふうに
upon ではなく on に変えています。

 

『ストランド・マガジン』に載った際の
挿絵ではちゃんと
upon となっておりますから
『小公子セディ』のスタッフ
ないしアニメーターが
こちらをふまえたのは明らか。

 

「高名の依頼人」イラスト
(写真は『名探偵読本1/シャーロック・ホームズ』
パシフィカ、1978.11.30. p.127 から)

 

もっとも

ジェレミー・ブレット版の初放映は

1991年であり

時期的にいって

アニメのスタッフは映像を

観られないわけですから

当然といえば当然ですが。

 


「高名の依頼人」は

最初、アメリカの雑誌に発表され

(それが1924年です)

翌年、イギリスの

『ストランド・マガジン』に

掲載されました。

 

作中では事件発生年が
1902年と明記されているので
セディの父親が『タイムズ』を読んだのは
1902年であることになります。

 

F・H・バーネットの原作
『小公子』は
1886年に上梓されたもの。

 

ですから
時代はかなりズレるわけですが
アニメ版の『小公子』については
1900年代初頭を時代背景としたものと
考えるべきなんだろうなあ
とか思ったことでした。

 


単なるスタッフのお遊びであり
時代背景として厳密に考えるべきでは
ないのかもしれませんが
『小公子セディ』のスタッフ
ないしアニメーターに
ホームズ・ファンか
シャーロキアンのいたことがうかがえて
それはそれで愉快だったり。

 

これって

シャーロキアンの間では

よく知られた話なのでしょうか?

 

 

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