(WERGO: WER-6801、2004)
日本における輸入・販売元は
キングインターナショナルですが
特に日本語版解説などは付いていません。
ケース裏にぐるっと囲い込むタイプの
オビ(タスキ)の裏側に
収録曲の日本語訳と
ちょっとしたコメント(リード文)が
あるくらいです。
ナクソスのCDの国内流通盤も
こんな感じなので
まあ、いいといえばいいんですけど
キングのような大手がこれでは
と、思わずにはいられなかったり。
ライナーの訳ぐらい
付けてくれてもいいのに( ´(ェ)`)
ちなみにオビ裏では
「双調の調子」となっている曲名は
「平調の調子」の
誤訳ないし誤記と思われます。
英語(ローマ字)表記では
「hyojo no choshi」
となっていますし
ライナーには
「hyojo no choshi: autumn」
と書かれており
Wikipedia の「雅楽」の項目の
「曲の調子」における説明とも
対応していますので
明らかに「平調の調子」です。
どうして
こういう誤記が生じたのか
分かりませんが
日本流通盤でこの間違いは
ちょっと恥ずかしい
というか、情けないですね。
閑話休題。
以前こちらのブログで
バッハのゴルトベルクの
アコーディオン版を取り上げた
シュテファン・フッソングは
日本で
笙奏者の宮田まゆみに
師事しています。
宮田まゆみの演奏(のCD)も
こちらのブログで
取り上げたことがありました。
その二人が
連名で出しているアルバムとあっては
気にならずにいられませんで
ようやく購入して
聴いてみた次第です。
雅楽の
黄鐘調(おうしきちょう)の調子と
現代音楽の作曲家・細川俊夫が作曲した
「光の中の呼吸のように」が
笙独奏。
雅楽の
平調(ひょうじょう)の調子と
細川作曲の「線 V」が
アコーディオン独奏。
残りの3曲
雅楽の
盤渉調(ばんしきちょう)の調子と
壱越調(いちこつちょう)の調子
そして細川が作曲した
「クラウドスケープス〜月の夜」
(「雲景・月夜」という訳もあり)が
笙とアコーディオンの合奏
ということになります。
ただ、アコーディオンが
アコーディオンのようにではなく
笙のように演奏されますので
アコーディオンと笙のための曲は
いわば笙の二重奏のような印象。
「線 V」は
パソコンで再生すると
冒頭、まったく聞こえなかったので
イヤホンを付けて聴き直しました。
たとえば
ハイドンの「驚愕」のように
いきなり音が大きくなることはないので
初めからイヤホンで聴くのが
ベターかもしれません。
双調の調子は
さすが
宮田まゆみに師事しただけあって
アコーディオンによる完コピ
とでもいえそうな演奏でした。
ですから、アコーディオンが
笙のような(笙と同類の)
フリーリード楽器だということは
よく分かります。
でも、アコーディオンを
笙のように聴かせる意図なり
意味なりは
よく分かりません。
それ(意図が分からない点)を除けば
本盤収録の各曲は
なかなか興味深い演奏ですけど
一般受けはしないだろうなあ。
ブライアン・イーノの
いわゆるアンビエント・ミュージックに
関心がある人なら
興味深く聴けるかもしれません。
原盤のレーベルは
ドイツの会社で
現代音楽なんかを出してますけど
そういうところだから
出せたわけでしょうね。
ライナーには
盤渉調の調子の日本語の楽譜が
写真版で載っていて
こういうところ
すごいなあと思います。
いわゆる
西洋音楽の五線譜じゃなくて
文字譜ですからね。
日本で発売されるCDに
スラヴ式ネウマ譜が
載るようなものでしょうけど
実は現代日本人にとっては
どちらも同じものだろうという(苦笑)
こういうCDで
曲名を誤記するだけでなく
ライナーの訳すら付けない
(付けられない?)
お国柄ゆえ
笑うに笑えませんけれども。( ̄ー ̄;)